溝の口駅/武蔵溝ノ口駅周辺 ―新旧文化がともに進化する街―

溝の口駅/武蔵溝ノ口駅周辺 ―新旧文化がともに進化する街―

神奈川県
2021.04.17 2022.08.21
MIZONOKUCHI

神奈川県の北東部に位置し、横浜と東京の間にあることから、玄関口の役割を持つ川崎市。東西に伸びる市域のほぼ中央に位置するのが、今回ご紹介する溝の口駅です。
JR南武線東急田園都市線大井町線が乗り入れますが、溝の口駅の名称は東急。JRのほうは武蔵溝ノ口駅とそれぞれ分かれています。また渋谷駅川崎駅からも30分圏内ということもあり、利便性の高さも相まって利用者も年々増える、地域住民からは「ノクチ」の愛称で親しまれています。
今回はそんな川崎市を代表する街・溝の口の様子を見てきました。

川崎市を代表する交通の要所・溝の口駅前の様子

溝の口駅北口

数ある市内の交通拠点を担う溝の口。駅前もターミナルらしい雰囲気となっていますが、最も栄えているのがこちらの北口。JR、東急双方の改札とはペデストリアンデッキ(通称:キラリデッキ)で繋がっており、両線との乗換はもちろん、駅界隈の商業施設や商店街へのアクセスもこのデッキを介して行われているので、終日人の流れが耐えることがありません。
デッキの下はロータリーとなっており、当駅を発着するバス路線とタクシーが乗り入れます。

溝の口駅南口

一方南武線を挟んで反対側の南口は、商店こそ少ないものの、大きなバスロータリーを有するターミナルとなります。特にこちらを発着する川崎市バスの路線は、鉄道空白地帯のアクセスも担うため、朝ラッシュ時は本数が多いにも関わらず積み残しが発生するほどの混雑路線になっています。そのような背景もあってか自転車利用者も非常に多く、駅周辺のロータリー地下や東急の高架下などに駐輪場が多数設置されています。
またロータリーから西側、梶が谷駅の方向は、急斜面が激しい台地となる地域ですが、眺望も良いからなのかマンションが多く立ち並ぶ住宅街となっています。

新旧が共存し協合する商業施設

ノクティ

北口のキラリデッキへ出るとまず必ず目にとまるのが、駅前のランドマークとなっている2つのビル・ノクティでしょう。かねてより商店街が盛んだった溝の口駅界隈は、バブル期の終わりを迎える頃に街の再開発が進み、その事業の一環として1997年にノクティが開業。一気に街を代表する施設となりました。
2棟からなるノクティプラザは、駅側のノクティ1、奥側のノクティ2はマルイファミリー溝口が大半を占めます。キラリデッキから接続する2階フロアには、HARA8(はらっぱ)というフードコートが広がりますが、メインの入口を入ってすぐにフードコートというのもまた面白い特徴です。

東急ストア溝の口店

東急の駅舎直下に入るのは東急ストア溝の口店。駅に直結していることと、営業時間が5:00〜24:00と早朝深夜帯に対応する利便性の高さも魅力です。

キラリデッキの最奥の階段を降りると見えてくるのが、溝ノ口駅前商店街ポレポレタウン。北口の一帯約1kmに及ぶエリアを占める商店街で、地域最大規模となっています。道路などきれいに整備されていますが、溝の口駅一帯の商業を担ってきた歴史ある商店街で、区域内にある横浜銀行やマルエツ、イトーヨーカドーなどの施設は改装等されつつも、何十年もの間移転や廃業もなくこの地の商業として根付いています。

ポレポレタウンの交差する場所にあるマルエツ溝の口店。近年建物の改装が行われましたが、こちらも紛れもなく溝の口の歴史を作ってきた立役者。元々は4階建ての施設でしたが、現在は生鮮食品や日用品を売る2階建てのスーパーとなっています。営業時間も深夜1時までと、帰りが遅くなったときでも立ち寄れて非常に便利です。

マルエツをさらに奥へ進むと見えてくるのがドン・キホーテ溝の口駅前店。かつては長崎屋として営業していましたが、長崎屋がドン・キホーテ傘下となると、こちらの店舗もドン・キホーテとして生まれ変わりました。

ドン・キホーテからさらに奥へ進むと見えてくるのがイトーヨーカドー溝の口店。こちらも1986年開店と歴史は長く、ノクティができるまでは溝の口を代表する大型施設でしたが、そのバトンを渡しつつも30年以上形を変えることなく、地域に愛される店舗となっています。

こちらも地域に根ざしたスーパーとして営業する十字屋商店。昭和15年創業と、溝の口周辺のスーパーとしては最も古い歴史を持ち、いわば溝の口周辺商業の先駆者とも言えるでしょう。
十字屋の魅力といえば、なんと言っても生鮮食品がとにかく安い!曜日ごとに肉や野菜、魚などが破格の値段で変える日が設けられていたり、青果売場では不定期で野菜詰め放題セールが行われるなど、主婦層やプロの料理人まで、創業から80年経った今でも地域に愛され続けるスーパーとして君臨しています。

歴史や風情が楽しめるみどころスポット

東急の北口側改札を、キラリデッキとは逆の出口を出ると、これまた駅前の栄えている雰囲気とは別世界かと言わんばかりの光景が。こちらの溝の口駅西口商店街はJR南武線の線路脇にある商店街ですが、商店街と言うよりは昭和の飲み屋街といった雰囲気で、一歩入るだけでタイムスリップしたような体験ができます。夜になると大衆居酒屋の賑やかさと、焼き鳥の香ばしい匂いが辺りを包み込みます。
また南口裏の路地裏にも同じように居酒屋が並ぶ一角が。西口商店街とは南武線を越える歩道で接続しているので、この一角だけでセンベロが楽しめるかもしれませんね。

ここで少し溝の口の歴史に触れていきたいと思います。
溝の口は江戸時代より大山街道の宿場町のひとつ溝口宿として栄えた場所で、その旧道が二子玉川駅近辺から梶が谷駅付近まで、田園都市線に沿って現存しています。旧大山街道沿いには、宿場町だった面影を残すものもあり、溝の口駅周辺ですと日蓮宗のお寺・宗隆寺溝口神社、駅の北側を流れる農業用水の名残である二ヶ領用水が該当します。また二ヶ領用水の大石橋付近には、大山街道にまつわる資料を展示する大山街道ふるさと館もあるので、旧道を歩いくだけで歴史を見て学べます。

まとめ

街に新しい文化が形成されつつも、それまでの文化も衰えることなく成長を続ける街・溝の口。筆者は何を隠そうここ溝の口は出身地で、昔からこの地の発展を見続けてきましたが、見慣れ親しんだものが今なお残る嬉しさ、形を変えつつも進化する新たな発見など、改めてこの街の魅力を大いに感じることができました。
学生時代は都内へ行って、住居が「溝の口」と言ってもあまり理解してもらえなかったのですが、今ではその知名度はかなり高くなったように思えます。

古来の歴史も昭和レトロもモダンも、一度に味わいたいなら、まずはぜひこの溝の口へお越しください(笑)

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