2023年3月 開業迫る、相鉄・東急直通線を徹底解説!

2023年3月 開業迫る、相鉄・東急直通線を徹底解説!

コラム
2022.02.10 2023.03.10
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横浜と海老名・湘南台を結ぶ神奈川県の大手私鉄・相模鉄道(相鉄)。2019年に相鉄新横浜線開通と羽沢横浜国大駅の開業。同駅からJRとの相互直通運転開始で、ついに念願だった東京都心直結を果たし話題となりましたが、今度は羽沢横浜国大駅〜新横浜駅へ延伸し、東急へ直通する相鉄・東急直通線を開通するべく現在工事が進められています。ここ最近ニュースでも取り上げられ、その概要が明るみになってきました。1年後の開業時には一体どんな未来が待ち受けているのか。あくまで推測となりますが、今後の展開を考察していきたいと思います。

開業は2023年3月 前代未聞6社局の直通運転

相鉄・東急直通線路線図

まずはこの相鉄・東急直通線の概要をご説明しましょう。冒頭でも述べましたが、相鉄は2019年11月30日相鉄新横浜線の西谷駅〜羽沢横浜国大駅の2.1kmを開通。同日よりJR線との直通運転を開始し、最長で埼京線の川越駅まで運転されています。それから遅れること4年、今度は相鉄新横浜線の羽沢横浜国大駅〜新横浜駅と、新横浜駅〜日吉駅間の東急新横浜線が開通することが決まり、開業日も2023年3月18日(土)に決まりました。日吉駅では東横線、目黒線と接続しますが、相鉄直通線は両線との直通運転も行われ、東横線と既に直通している東京メトロ副都心線東武東上線。目黒線と直通の都営三田線東京メトロ南北線埼玉高速鉄道線などとも直通。なんと事業者数6者局・10路線での直通運転という前代未聞の乗り入れが実現することとなりそうです。ただし副都心線を介して東横線とも直通運転をしている、西武鉄道に関しては相鉄との直通運転をしない方針を公表しています。

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開業前に展開される各社の動き

開業を控えた相鉄、東急は然ることながら、直通先の路線でもその準備が着々と行われています。

相鉄20000系
相鉄20000系

まず今回の直通の目玉となる相鉄側では、東急直通用に20000系を導入。10両編成を基本とし、東横線・東京メトロ副都心線へ直通する予定。さらに8両仕様の21000系も2021年より導入が開始され、こちらは目黒線への直通用となります。

東急3020系
東急3020系

東急ではおもに目黒線を中心とした改良が進められ、6両で運行されていたものが一部8両編成となりました。直通先の各線(都営三田線、東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道線)でも8両化に対応し、2022年4月より順次8両での営業が開始されています。
今回の直通に際し、東急側でも目黒線用に新型車両・3020系を導入。既存の3000系、5080系も8両化が進められ、東急側の車両はすべて8両編成となります。

都営三田線6500形
東京都交通局6500形

新型車両導入は直通先でも行われており、都営三田線では6500形を導入。当初より8両で納入され、2022年5月より営業運転が行われています。こちらは2023年1月現在、東急側での試運転は確認されているものの、相鉄線での目撃情報はないので、今回の開通時は新横浜止まりの列車に充てられるものと思われます。

より複雑さを増す運転系統

ここで東急・相鉄各線の運転系統を整理してみましょう。

東急東横線・目黒線 路線系統
東急東横線・目黒線の路線系統

東急側は既に渋谷、目黒を拠点に、都心部へは地下鉄との相互直通運転を行っています。
東横線は横浜方では横浜高速鉄道みなとみらい線と。渋谷からは東京メトロ副都心線と直通し、その先の直通先である西武有楽町線・池袋線(小竹向原駅)、東武東上線(和光市駅)にも直通するため、5路線にも及ぶ広範囲のネットワークを形成。さらに言うと副都心線は和光市〜小竹向原間で有楽町線と線路共用をしているので、現時点でも複雑な路線網となっていることがわかります。
一方の目黒線は目黒から先は東京メトロ南北線、都営三田線へと直通しますが、2駅目の白金高輪駅にて両線が分岐。三田線は末端の西高島平まで。南北線は終点の赤羽岩淵駅から先、埼玉高速鉄道線と直通し浦和美園駅まで直通。こちらも4路線と決して少なくはない路線網となっています。

2線の路線網を合わせると9路線(有楽町線を合わせると10路線)と既に複雑なものになっていることがおわかりになるでしょうか。

相鉄路線系統

方や相鉄側のほうはどうでしょう。前述の通りJR線との直通運転が開始されていることで都心直結が実現していますが、東急と比べるとシンプルに見えます。が・・・実はJR・相鉄直通線は1本の路線ではありません。ざっくりではありますが紐解いて行くと、羽沢横浜国大駅〜武蔵小杉駅手前までは東海道貨物線。武蔵小杉駅〜新宿駅間は湘南新宿ラインと線路を共用しています。また一部の便で赤羽駅や大宮駅、川越駅まで行くものは埼京線と直通するので、こちらも既に複雑なネットワークとなっているのです。

ついに明かされた運行計画。そのポイント

東急・相鉄両線とも既に複雑に入り組んだ網の目路線となっていることがわかったところで、ここからまたさらに複雑になっていく路線網をどのように結んでいくのでしょうか。

2022年2月時点で公式で発表されていた運行概要がこちら

■相鉄新横浜線(羽沢横浜国大駅~新横浜駅間)

朝ラッシュ時10本/時
その他時間帯で4本/時。

■東急新横浜線(新横浜駅~日吉駅間)

朝ラッシュ時毎時14本/時
その他時間帯で6本/時。

新横浜駅
新横浜駅

見る限り路線の複雑さを考慮すると多い本数のような気がします。両線で本数が違うのは、東急側で新横浜駅止まりの列車が設定されることが予測できますね。新横浜駅は2面3線のホームとなり、中線で折り返しができる設備となるようなので、毎時2本(ラッシュ時4本)が新横浜折返し便となるのでしょう。

そして開業が迫る2022年11月24日、ついに両社で公式の運行計画が発表されました。
まず東急新横浜線の注目ポイントがこちら

  • 東急新横浜線〜東横線へ直通する列車はすべて急行で運行。
  • 東急新横浜線〜目黒線へ直通する列車は急行、各停で運行。
  • 東急新横浜線内の全列車が新横浜駅、新綱島駅に停車します。

これは以前このページで予想でお伝えしていましたが

日中時間帯で東横線・目黒線で急行と各駅停車それぞれ3本ずつ(うち2本が新横浜止まりの計6本となるのではと推測します。これは東横線の特急がFライナーとして横浜方面への速達性・需要に現在も大きく貢献していると思いますし、新幹線乗換や神奈川東部方面へのアクセス向上があっても特急を運行するメリットとしては少し弱い気がします。また東横特急が接続駅である日吉駅を通過することも理由のひとつです。

本数配分は東横線2本、目黒線4本(うち新横浜止まりが2本)と少し誤差はありましたが、直通運用に急行列車が充当されるのは予想通りでした。さらに相鉄線へ直通するのは4本となっているので、東横線の2本と目黒線の2本が急行として直通。残りの2本は新横浜止まりとなりますが、なんと日中時間帯はすべて急行列車の運用となるようです。このことから急行メインの路線となるため、新綱島駅全列車停車も必然的と言えます。

東急電鉄のニュースリリース

一方の相鉄新横浜線のほうは

  • 相鉄本線からの列車は東急目黒線方面へ、相鉄いずみ野線からの列車は東急東横線方面へ直通運転。(※一部の列車を除く)
  • 東急東横線との直通列車は、相鉄いずみ野線内の特急、通勤特急として運行。
  • 東急目黒線との直通列車は、相鉄本線内は特急、各停として運行。

なんと一度消滅したいずみ野線の特急復活、しかも東横線との直通とかなり思い切った設定で、驚きが隠せません!いずみ野線の設定は見送るだろうという予想は大きくハズレましたが、いい意味で裏切られた感があります。
日中時間帯は東横線系統が二俣川駅より先いずみ野線・湘南台駅へ、目黒線系統は海老名駅へ直通になるということですが、朝ラッシュ時は相鉄本線〜東横線、いずみ野線〜目黒線運用も設定されるということで、中でも早朝時間帯に海老名発・東横線〜副都心線〜東武東上線直通の小川町行きというロングラン運用というのも設定されるそうです。

相鉄のニュースリリース

東急・相鉄直通線 運行系統イメージ図

ざっくり図を作ってみましたが、基本の運行系統はおおよそこのようなイメージでしょうか。概要は発表されても、実際にどうなるのかが気になりますね。しばらく目が離せません!

まとめ

開業まで刻々とその時が近づいてきた東急・相鉄直通線。線路は続くよどこまでもとはよく言ったもので、首都圏の鉄道路線は途切れることなくひたすら続いていきます。利便性が向上する一方で、知識の疎い方にとってはよりわかりづらいものになるのは否めません。この記事で少しでも多くの人達に、複雑さを解決するきっかけになれたら幸いです。

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