取手駅 ―都心をつなぐ、茨城の元祖玄関口―

取手駅 ―都心をつなぐ、茨城の元祖玄関口―

茨城県
2023.12.05 2023.12.05
TORIDE

茨城県南部に位置する取手は、市の南側を流れる利根川を境に、県境の街としても知られ、古くから水戸街道の宿場町としても栄えました。いつしか街には鉄道が敷かれ、宿場町同様の県境駅として設けられたのがこの取手駅です。1826(明治29)年に日本鉄道(現在の常磐線)の開通以来、茨城県の玄関口として機能するターミナル駅の様子を見てきました。

出口によって階段が違う、駅の様子を徹底解剖

取手駅ホーム全景
取手駅ホーム全景
取手駅から東京方面を望む
この先の利根川橋梁を越えると千葉県となる

JR常磐線関東鉄道常総線が乗り入れる取手駅。前述のとおり県の南端部に位置することから、常磐線に至っては都心方面と茨城を結ぶ玄関口の役割を。また常総線も当駅を起点とし、守谷や水海道、下館など検討部へのアクセスを担う、事実上県を代表するターミナル駅となります。

西口改札
東口改札
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JR常磐線は東口・西口とで改札が分かれており、ホーム階下から繋がるのが東口、跨線橋で階上から繋がるのが西口。それぞれの改札は行き来できない構造となっています。
ホームは3面6線を有する、1路線のホームとしては大きいものとなっていますが、常磐線は当駅を境に系統が分離されています。これらは使用するホームごとに説明していきましょう。

まず東側の1・2番線は常磐緩行線(各駅停車)ホームで、使用されるのは平日朝夕の時間帯のみ。平日日中、土休日は我孫子駅で折返しとなるダイヤが組まれているので、ホームに列車がやってくることはありません。

そのお隣の3・4番線は、常磐線快速の東京方面ホーム。ここから先は利根川を渡って千葉県へと入ります。
快速とは言えど、我孫子駅までは緩行線と停車駅は同一となるため、緩行線が当駅にやってこない時間帯はこちらで補完することができます。

最後5・6番線は、土浦・水戸など茨城県内陸部へ向かう列車と、東京方面の折返し列車も使用します。というのも、常磐快速線は車両によって運転区間が分けられており、当駅で折り返す車両(エメラルドグリーン帯・グリーン車なし)と、水戸方面へ向かう車両(紺色の帯・グリーン車付き)とで例外なくそれぞれ分けられています。
これはつくばエクスプレス・守谷駅同様、当駅より水戸方から電化方式(直流≠交流)が変わることが理由で、紺色帯の車両が交流区間を走行することができます。

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続いて常総線は、1面2線の島式ホームとなっており、改札は西口側の1箇所のみ。常磐線とは連絡改札を介して乗り換えが可能となっています。東口からは連絡通路を経由する必要があります。

西口は再整備、バスロータリーが充実する駅前

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常磐線東京寄りの階下へと続く階段を下ると東口へと通じます。
駅前は広大なロータリーが広がり、自家用車からタクシー、バスがひっきりなしに発着しています。
周辺は飲食店が多く、一見大きな商業施設などは見当たりません。かつてはイトーヨーカドーが駅前にあったそうですが、衰退によって撤退を余儀なくされ、跡地にはマンションが建っています。
駅前から伸びる芸大通りを進むと、緩やかな坂に差し掛かります。周辺は台地となっており、坂が多いエリアとなっています。
余談ですが、芸大通りは名前の通り東京藝術大学取手キャンパスからつけられていますが、キャンパスは当駅から約5km離れた場所にあり、徒歩圏内ではありませんのでご注意を。

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一方の土浦寄りの跨線橋を上ると西口へ。駅舎はアトレ取手の入る駅ビル構造となっています。
外へ出るとデッキと繋がりますが、さぞかし賑わいのビルが立ち並ぶことと思いきや・・・開放的な空間が広がるではありませんか。
というのも、西口は現在再開発の真っ最中で、ちょうど駅前の道路整備が進められています。バス乗り場は駅を出て右手奥側に見えますが、こちらは元々駅前にあったものを、整備によって一時的に移設されています。その後はバス停は元の位置に戻され、高層ビルなどが建設されるようです。
デッキ奥側の駅前通りを200mほど進むと、常磐線と並行する国道6号線へと出ます。かつて宿場町があったように、現在に至るまでこの街が主要地点であることがわかります。

駅に集約された商業施設

アトレ取手外観 取手駅西口駅舎も兼ねている
アトレ取手 駅側の入口
1F TORIDE MARCHE
3F成城石井 改札前通路を挟んだ場所にある
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取手駅西口の駅舎も兼ねる駅ビル・アトレ取手。
1階の食料品売場や、改札階には成城石井が入る一方で、4階にアートギャラリーや東京芸大のオープンアーカイブがあるのが特徴。スターバックスも入るため、若年層の方も多い印象です。

リボンとりで

西口を出てすぐ正面に見えるリボン取手。西友が核店舗で1〜2階を占めており、その他ダイソーなども入ります。

東口には前述の通り、イトーヨーカドーが2007年に撤退したのを最後に商業施設はなく、西口に集中することになっています。また再開発が進んだ頃に新しいお店が増えるのを期待したいですね。

かつての宿場町、県境の街を色付けるみどころ

新六本店
本陣通り沿いにある奈良漬けの老舗 新六本店

冒頭でも述べたように、取手はかつて水戸街道の宿場町としても栄えた地で、その名残を見られるスポットも点在します。

旧取手宿本陣 染野家住宅
屋敷の隣りにある蔵
屋敷の中は金・土・日(年末年始を除く)に公開している
広間
屋敷の外庭
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南口から本陣通りを東へ進んだ場所にある旧取手宿本陣 染野家住宅は、徳川家から本陣に指定された家で、多くの大名や武士が宿泊や休憩に利用した、由緒ある建物が保存されています。
建物内は金・土・日のみ開放されており、土間に資料の展示。茶の間などの居室にも実際に入ることができます。

長禅寺
長禅寺
八坂神社
八坂神社

その他にも、平将門が祈願寺として創建したとされる長禅寺や、取手宿の産土神として祀られていた八坂神社など、当時の面影を残す史跡が残されています。

利根川河川敷

県境の街・取手と言えば何と言っても、県の境界となる利根川。日本最大級の規模としても有名な一級河川です。土手沿いは広大な敷地を利用した野球場や広場が広がります。

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川に沿って歩いていくと、何やら渡船場が見えてきました。
こちらは小堀(おおほり)の渡しという渡し舟。実はここから南側の向こう岸にも茨城県取手市となるエリアが存在(小堀地区)。その小堀地区と取手市中心部を結ぶ重要なアクセスとなっているのが、この渡し舟というわけです。元々は住民専用の船だったそうですが、1運行経路200円(子供100円)か、1週400円で誰でも利用することができるそうです。

まとめ

古くより水戸街道の宿場町として、時を超え県境の街として鉄道の要所としても繁栄してきた街・取手。
商業の撤退・衰退の危機もあった中で、また生まれ変わろうとする新たな都市開発への希望も見えたり、歴史を感じれるスポットもあったりと、街の魅力は十分に残っていますし、これからもまた増えていくことでしょう。

また数ヶ月・・・数年後には、きっと見違えるような街並みが広がっていることを楽しみにしています。

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