海老名駅周辺 ―水田から大都市へと生まれ変わった街―

海老名駅周辺 ―水田から大都市へと生まれ変わった街―

神奈川県
2021.08.06 2023.02.12
EBINA

相模原市厚木市などと並んで、神奈川県の県央エリアの一角を担う海老名市。東名高速のサービスエリアがあることで知られる場所でもありますが、そんな市を代表する駅が海老名駅小田急小田原線を筆頭に相鉄線JR相模線が乗り入れるターミナル駅。駅前はペデストリアンデッキがロータリーを囲い、大きなショッピングモールが立ち並ぶターミナルらしい雰囲気ですが、ここまで発展したのはなんとここ近年の話で、かつてはイメージとは少し違う街でした。そんな海老名駅の様子やみどころなどとともに、少し前の話と今を織り交ぜながらお伝えしたいと思います。

郊外の街が大都市へ、人通りが二分する駅前

海老名駅東口

駅の開業以来市街地の中心として街の玄関口を担う東口。駅から円を描くようにペデストリアンデッキが架けられ、その下にバスやタクシーの乗り入れるロータリーが設けられています。

海老名駅は元々お隣の厚木駅付近で接続していた小田急線・相鉄線の連絡駅として1941(昭和16)年に開業。その当時の駅周辺は水田が広がる地域で、駅だけがポツンとあるような場所でした。まもなく集落ができていったものの、街として発展するまでには至りませんでした。
その後1980年代に近づくと周辺に商業施設が進出するようになり、1979(昭和54)年にイオン、1984(昭和59)年にショッパーズプラザがオープン。再開発も計画されるようになり、2002(平成14)年のビナウォークの開業で現在のような街並みとなりました。

また現在相鉄の駅舎はリニューアル工事中。これによって東口と接続する改札の他に、横浜寄りにも改札が設置されるそうで、駅前広場も整備されるようです。完成は2022年に予定していましたが、鉄骨の不具合などが生じた関係で2026年にズレ込むとのことです。完成が待ち遠しいですが気長に待ちましょう。

海老名駅西口

一方の西口はららぽーとやビナガーデンズなどの施設があるため人通りも多いエリア。小田急とJRの駅舎が200mほど離れておりデッキによって連絡していますが、JR側は開業当初から駅があったわけではなく、後に請願駅として設置されたのが1987(昭和62)年と、わりと最近のことでした。

また徐々に市街地化が行われた東口に対して、西口側は長きもの間田畑の広がる田園地帯でしたが、2010年以降に再開発が活発化し、2015(平成27)年にららぽーとが開業するとたちまち宅地開発も進んでいきました。今では東口と勢力を二分するまでに発展しています。

再開発で一気に増えた商業施設

再開発等が進み商業が盛んなイメージが定着した海老名駅周辺ですが、そんな街に改革をもたらしたのがViNAWALK(ビナウォーク)。東口一帯の8つの建物から形成される複合型商業施設で、名実ともに街のランドマークとなっています。このうち駅から近い1番館2番館はビナウォーク開業以前から既に存在しており、2002年の当館開業と同時に編入されました。デッキ最奥で繋がる3番館(マルイファミリー海老名)、4番館(クリニック&ビューティーサービス)5番館(ファッション&ライフスタイル)6番館(TOHOシネマズ・アミューズメント)は施設内で最も大きい建物で、元よりこの場所にある海老名中央公園を取り囲むように建てられています。その他ファッション ホビー&ライフに特化したビナプラス、小田急の駅舎すぐ横のビナフロントなど、建物ごとにショップのジャンルがわかりやすく棲み分けされているのも特徴です。

東口ロータリー横の通りから厚木街道(県道40号線)へ進み、海老名駅入口交差点の角に見えるのがイオン海老名店。前述の通り東口界隈の商業施設の中では先駆者にあたり1979年にニチイとして開業しました。地上4階建て、駐車場完備のよくあるイオン系のショッピングセンターですが、2階フロアにあるイオンシネマ海老名は前身であるワーナー・マイカル・シネマズの第1号劇場として1993(平成5)年にオープン。日本初のシネマコンプレックスの映画館という誇らしい経歴を持ちます。

イオンから厚木街道を西側に沿ってすぐの場所にあるのがショッパーズプラザ海老名。イオンから遅れること5年の1984年にオープン。運営元がダイエーということで核店舗となっており、地上4階建てそれぞれが専門フロアで駐車場も完備。オープン後しばらくはイオンと共に界隈を代表する商業施設として勢力を二分していましたが、ビナウォークやららぽーと参入後も変わらず共存共栄を続けているようですね。

家電量販店はららぽーととビナウォークの2つにノジマ電気がそれぞれ入りますが、イオンから厚木街道を東に進むとヤマダ電機テックランド海老名店もあります。

西口側の代表格はやはりららぽーと海老名。駅から伸びるデッキの最奥部にあり、それまで閑散としていた西口界隈を一気に賑わう街へ変貌させた街の立役者と言っていいでしょう。ららぽーとの店舗でよく見られる吹き抜けも健在。大きな店舗としては無印良品やノジマ電気、ロピアなどが入ります。

小田急とJRと連絡する自由通路上に建つViNA GARDENS(ビナガーデンズ)は、このエリア一帯からなる複合施設で、商業メインのTERRACE(テラス)、医療系施設をメインとしたPERCH(パーチ)、オフィスビルのOFFICE(オフィス)で構成され、エリア内にタワーマンションもあるなど生活が集約された街が造られています。

そして界隈で2022年現在最新のお店となるave(エイビイ)。あまり聞き慣れないお店でしたが、横須賀市を中心に横浜や県央地区にも店舗を展開するスーパーだそう。支払い方法が現金のみとなっており、低価格とローコストオペレーションを売りにしていることから、ロピアと競合関係にあるようです。

スタバのある図書館に史跡など、駅周辺のみどころ

東口のビナウォークに囲まれている広場、じつはれっきとした公園で、海老名中央公園というビナウォーク開業以前からあります。イベントのできるステージや親水広場があり、ビナウォークの景観ともうまく溶け込んでいます。奥にある立派な塔は、ここから東にあった相模国分寺(後述)の七重の塔を縮小して再現したもので、公園内のシンボルとなっています。

その七重の塔があった場所というのが、こちらの史跡相模国分寺跡歴史公園。現在塔の姿はなく、基壇のみが復元、その他金堂や講堂、道路を挟んで僧坊の跡も残されています。また公園の横には海老名市立郷土資料館「海老名市温故館」もあり、歴史や民俗資料の展示・公開がされています。

県立相模三川公園
西口からさらに西へ1kmほど行き、相模川のほとりに広がる相模三川公園。大型遊具や水場、スポーツ施設が充実しているこの公園は普段から子どもに大人気。毎年8月上旬に開かれる厚木鮎まつり花火大会の超穴場スポットにもなっているようで、大混雑の厚木側とは対象的にひと味違った楽しみ方もできるのだとか?

西口から小田急の検車区に沿って歩いていくと見えてくるのが海老名市立中央図書館。一見よくありそうな図書館ですが、その中身はなんと図書館でありながら蔦屋書店スタバが併設されており、本を借りるだけにとどまらず購入もできます。施設内もモダンでおしゃれな雰囲気なので、落ち着いてスターバックスラテやフラペチーノを飲みながら読書を楽しめることでしょう。

小田急念願の鉄道博物館・ロマンスカーミュージアム

海老名駅の周辺でここ近年最も注目のスポットといっても過言ではないのが、小田急として初の鉄道博物館・ロマンスカーミュージアム。西口を出てすぐの好立地にある当館は、小田急の象徴とも言える特急ロマンスカーをテーマにした施設で、過去に活躍したロマンスカー車両はもちろん、沿線を模した壮大なジオラマ、歴史資料の展示、体験を通して学べるコーナーなど、小田急を見て感じて学べるスポットとなっています。実は当館開設に至るまでに、展示されている車両はその日を夢見て何十年もの間保存されてきたもので、後世へとその夢を受け継いできた小田急の意地を感じさせます。

まとめ

鉄道の接続によって何もない場所、いわばゼロからはじまり、長らく水田の中にあった郊外の街・海老名は、やがて商業が盛んな都市へと変貌を遂げていきました。

私自身ももうかれこれ十何年ぶりに訪れましたが、連絡通路以外何もなかった西口の変わりようにはただただ驚くばかりで、JRと小田急・相鉄の乗換は少し不便に感じていたのですが、1つ2つ商業施設ができるだけでここまで賑わうのかと。
街というのはその時代ごとに違う顔を見せるのは、巡っていて本当に面白い魅力のひとつだと改めて感じさせられます。

これからも進化していくであろう海老名の街並み、利用や居住を考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。

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