横浜市金沢区は、海と山に囲まれた横浜市最南端の街。八景島シーパラダイスや、海の公園などのレジャースポットや、市内でも起伏の激しい山が連なることから、ハイキングコースなども多いエリアとなっています。区内を走る主要路線である京急の中でも利用者数5位、金沢区の事実上主要駅となっているのがこの金沢文庫駅です。単独駅ではあるものの、運行上重要な役割も果たしているのだそう。その駅と街の様子を見ていきます。
起終点・朝ラッシュ時の運用を支える重要拠点
2面4線のプラットフォームを持つ金沢文庫駅ですが、快特はもちろんウィング号までの全種別が停車する主要駅。終日緩急接続も行われる他、当駅を起終点とする普通列車なども多数設定されています。また朝ラッシュ時や土曜日朝において、当駅以南より発着した8両編成の上り快特とウィング号は、当駅で4両を増結し12両編成で品川駅方面へ運行。下り列車においても解結が行われています。これは12両編成に対応したホームが、当駅以南にないことが理由としてあります。
またもう一つの理由として、当駅と金沢八景駅の間にある京急の車両基地のひとつ・金沢検車区があることも挙げられます。当駅で増解結される車両は当検車区の留置線に出入庫することで運用を捌いているということですね。その他金沢八景駅から分岐して、逗子・葉山駅方面へ向かう逗子線の普通列車も当駅から多数発着しています。
駅そのものは改札が1箇所のみの橋上駅舎。一見主要駅にしては手狭ではないかと思いましたが・・・?
改札外にコンビニや飲食店などのショップが集まっており、運用だけでなく利用面でもしっかりとしたインフラが出来上がっているようです。
住宅街の玄関口、レトロな雰囲気を持つ駅前
1箇所のみの改札を越えると、出口は左右二手に分かれます。
西口
右側へ出ると西口へと通じます。
出るとすぐ目の前にコアラのイラストが書かれた案内板。当駅の西2km地点には金沢自然公園・金沢動物園があり、当駅からバス利用でアクセスしています。
駅前の歩道を少し進むと、バスやタクシーが乗り入れるロータリーが広がります。
アピタのちょうど裏側には宮川という河川が流れます。
駅の直ぐ側には笹下釜利谷道路という2車線の道路が伸び、西口を発着するバス路線の多くがここを通り、西方向へと向かいます。
またここから少し金沢八景駅方面へ進むと、総合車両製作所(J-TREC)という鉄道車両を製造する工場があります(※敷地内撮影禁止となっているため文章での紹介とさせていただきます。)こちらではJR東日本など関東を中心とした鉄道会社の車両が製造されています。もう少し詳しい話は、後日金沢八景駅のえきレポでご紹介させていただきます。
東口
一方の東口も橋上駅舎ということで、エントランスの雰囲気はほとんど同じです。
しかし駅前はというと、広々としたロータリーのある西口と対象的に、昭和のレトロな雰囲気が漂う商店などが並びます。
東口にも線路に沿うようなかたちでバス乗り場もあり、路線はおもに東側の八景島や福浦など金沢シーサイドラインが走るエリアへと向かいます。
ロータリーを出るとすぐに国道16号線へと出ます。当駅付近は2車線となっていますが、この先の君ヶ崎交差点以南は4車線となります。
また国道沿いの駅からほど近い場所にもバス停があり、磯子駅や追浜方面の路線が通ります。
国道16号をさらに東へ進んでいくと、路地も多い住宅街へと差し掛かります。一方通行ながら中型の路線バスが通っていきます。
住宅の向こうに小高い山も見えます。地形の高低差も激しい金沢区ならではの光景と言えますね。
それぞれジャンルの違う3つのお買物スポット
京急線でもトップクラスの利用者数を誇る金沢文庫駅ですが、ベットタウンとしての性格が強いため、駅前の商業施設は案外シンプルな配置となっており、それぞれで独自性のあるものとなっています。
西口に居を構えるアピタは、大手スーパーチェーンのユニーが運営するショッピングセンター。1階部分のユニーの他上層階にもさまざまな専門店が入ります。2023年4月にはリニューアルが行われ、3階フロアには家電量販店・ノジマがオープンしました。
アピタから数十メートル陸橋沿いに歩いていくとオーケーもありますので、食料品や日用品の買い物はバッチリでしょう。
一方の東口側は、ロータリーのそばから界隈唯一の商店街・金沢文庫すずらん通りが150メートル南方向へ伸びていきます。懐かしい雰囲気もありながら、明るく活気もある商店街です。
駅名の由来にもなった史跡
「金沢文庫」と聞いて、そこには文庫・・・?図書館みたいな場所があるのか??と想像を膨らませることができるかと思いますが
まさにそのとおりで、駅から東へ800mほど歩いていくと神奈川県立金沢文庫という施設があります。
近代的な建物に庭園や石碑が置かれています。実は鎌倉時代から存在する歴史ある文庫で、当時の武将として知られる北条実時が開設しました。武家の文庫としては日本最古となるそうです。
訪れた日は休館日で、残念ながら中には入れませんでしたが、現在は歴史博物館となっているそうで、絵画や古書の展示や図書の閲覧、展覧会なども行われているそうです。
そこからさらに東へ少し進むと、立派な赤門と仁王門が建つ称名寺があります。こちらも金沢文庫同様、北条実時によって創建されたお寺で、金沢文庫は称名寺の敷地内にある施設となります。
仁王門をくぐると見える、大きな池とその真ん中を貫く赤い反橋と平橋が、とても落ち着くいいロケーションを演出するとともに、歴史の深さを感じさせます。
また境内は国の史跡にも指定されています。
まとめ
検車区を有することから、朝ラッシュ時の輸送力増強、列車の起終点など重要拠点となっている金沢文庫駅。それだけでなく、利用者の生活にも寄り添う導線も完備した駅舎に、ベットタウンの玄関口として顔、活気に満ちた商業、駅名の由来になった歴史あるスポットなど、溢れんばかりの魅力を感じることができました。
住むもよし、ちょっと立ち寄るもよし。ぜひ一度体感してみてください!