登戸駅周辺 ―生まれ変わった県境の玄関口―

登戸駅周辺 ―生まれ変わった県境の玄関口―

神奈川県
2020.11.05 2022.08.27
NOBORITO

神奈川県川崎市北部に位置し、県境である多摩川にほど近い場所にあることから、多摩区と名付けられた行政区の中心であり、東京への玄関口のひとつとしても機能するのが登戸駅。当駅に乗り入れるJR南武線小田急小田原線は市内の大半をカバーする路線であり、登戸駅はその乗換駅としてこれまでも重要な役割を果たしてきました。
駅周辺はこれまで昭和の雰囲気が漂う商店街に住宅が密集するエリアで、駅の機能は乗換に特化したものでありましたが、近年は大規模な再開発が行われ、街の様子もだいぶ変わってきました。そんな駅の様子を見ていきたいと思います。

乗換だけとは言わせない、近代化と和みのある駅へ

登戸駅

市内の主要駅である川崎駅武蔵小杉駅武蔵溝ノ口駅などを結ぶ南武線と、北部エリア・麻生区の主要駅でもある新百合ヶ丘駅を経由する小田急線の接続駅ということもあり、かねてより乗換の需要が高かった登戸駅。以前から平面乗換が可能な構造であったため、乗換によるロスが少なかったのですが、小田急の駅舎改築に合わせてJRでも行われることが決まり、2006年より供用が開始されました。
JRは近代的な橋上駅舎で、小田急も高架下の広々とした改札フロアを有し、両線ともにペデストリアンデッキと接続。乗換駅としての利便性はそのまま確保されました。

小田急登戸駅構内
また小田急線側の駅構内は、他の駅とは違う特徴を持っていて、それは駅舎の至るところにアノ国民的キャラクター・ドラえもんがいらっしゃいます。これは登戸駅が藤子・F・不二雄ミュージアムの最寄り駅のひとつとなっているためだそう。駅名標からベンチ、ゴミ箱に至るまでドラえもん一色!ファンにはもちろん、利用者にとっても和みのある駅になっています。またJRのほうでも装飾はないものの、発車メロディが藤子作品のアニメ主題歌(ぼくドラえもん、きてよパーマン、ドラえもんのうた)となっています。

登戸駅 生田緑地口

登戸駅の玄関口は大きく分けて2つ。南側のメインゲートとなる生田緑地口は、元来より乗換口として機能してきましたが、元々自動車等が乗り入れるのが困難な構造でしたが、駅舎のリニューアルに伴い道路の拡張が行われたことで、自動車と路線バスの乗り入れも可能となりました。デッキ下の登戸駅生田緑地口バス停からは川崎市バスの登05系統と藤子・F・不二雄ミュージアムの直通バス、ここから南東にある長尾方面のコミュニティバスが発着。また向ヶ丘遊園方面へ120mほど進んだ場所にもバス停があり(登戸駅バス停)、川崎市バスの溝06、登14系統と週1本土曜日にしか運行されない、淵野辺駅行き神奈中バスが出ています。

登戸駅 多摩川口

一方南武線の川崎方面ホーム寄りの多摩川口は、その名の通り多摩川にほど近い玄関口で、多摩沿線道路とも接続。南武線の線路を川崎寄りに沿って歩くと川崎市立多摩病院への連絡通路も繋がっています。こちら側も鷲ヶ峰営業所〜カリタス学園を結ぶ登06系統が発着します。

変わりゆく街並み、駅周辺の再開発を見る

区画整理事業の真っ最中の登戸駅界隈

登戸駅の西側と向ヶ丘遊園駅の一帯では、現在登戸土地区画整理事業と呼ばれる区画整理が進行中。約37ヘクタールの広範囲を一旦更地化した後に、新しい建物や道路整備などが行われています。登戸側ではマンションや戸建住宅が並ぶようになりましたが、向ヶ丘遊園寄りにはまだ更地が多く残っています。
また登戸駅〜向ヶ丘遊園駅間で3複線となっている小田急線でも、線路脇に用地が確保されており、将来複々線となる計画もあるそうです。

登戸駅生田緑地口周辺

生田緑地口の向ヶ丘遊園駅寄りには古びた建物がまだ残りますが、今後はこのエリアも区画整理が進められ、ロータリー横の道路も小田急の高架下を貫いて西側に伸ばすようです。

昭和の商店街はスーパーへ、駅周辺のお買いものスポット

味の食彩館 のぼりと

JRのエキナカ施設として入る味の食彩館 のぼりと。地上部分を含めた3階建て構造の建物にスーパーやカフェ、本屋、川崎市の行政サービスの窓口などが入ります。

小田急マルシェ登戸の地上部分

小田急側も高架下と改札フロアに小田急マルシェ登戸を展開。飲食店を中心とした店舗が多く入ります。

マルエツ登戸駅前店

スーパーの少なかった駅西側にも区画整理の一環で、マルエツ登戸駅前店が2020年にオープンしました。あまり大きい店舗には見えませんが、1〜2階の2フロア構成となっています。

オーケー登戸店

マルエツを追うように2店舗目のスーパーとして2021年にはオーケー 登戸店が参入。20台ほどですが駐車場も完備しています。

駅近の憩いスポット、多摩川河川敷

多摩川河川敷

登戸のみどころといえばなんと言っても、駅の直ぐ側を流れる多摩川。向こう側は東京都となり、小田急線は当駅から多摩川を越境するので、複々線の大きな橋梁が架かります。
川沿いには土手が続き、河川敷に下りると野球やサッカーのグラウンドが広がります。駅から近いということもあってか、週末には河川敷で休憩する人やスポーツ、サイクリングを楽しむ人などが多く、憩いのスポットとなっています。
一方で駅側の土手沿いは、多摩沿線道路や多摩水道橋と接続していることから、車の通りもものすごく多いので、通行の際は注意が必要です。

まとめ

古くから市内および都心への玄関口として機能し、近年は駅舎のリニューアルに大規模な再開発など、その役割も変わりつつある登戸駅。筆者も高校時代は当駅から小田急で通学をしていたため、毎日利用していましたが、当時の面影とは当然ながら全く異なり、その変わりようは驚くものばかりでした。
登戸駅側はある程度建物が建ってきているので、今後は向ヶ丘遊園駅北口周辺の整備が進んでいくことでしょう。

そして最大の魅力としてはなんと言ってもその利便性。南武線は全線のちょうど中間にあたるため、立川・川崎の両駅まで快速で30分弱。小田急も快速急行までの優等列車が停車し、新宿まで最速16分と充分すぎるアクセスの良さ。また周辺の賃貸マンションも新築のものが増えてきていますが、家賃相場は溝の口、武蔵小杉と比べるとお手頃なので、今が狙い目かもしれませんね。

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