羽沢横浜国大駅 ー鉄道空白地帯に出現した接続駅ー

羽沢横浜国大駅 ー鉄道空白地帯に出現した接続駅ー

神奈川県
2023.02.12 2023.03.24
HAZAWA YOKOHAMA-KOKUDAI

2019年11月30日、首都圏の新たなネットワークとして「相鉄・JR直通線」が開通しました。
相模鉄道(相鉄)は、首都圏の大手私鉄としては唯一東京都心へ乗り入れがない事業者でしたが、JR線との直通運転をすることで、それを果たしたのが当路線。相鉄にとっては念願の都心直通となったのです。
その両者を繋ぐ結節点として、新駅が設けられることになりました。それがここ羽沢横浜国大駅です。
駅の誕生から3年が経った今、どのような進化を遂げるのか。その様子を見てきました。

元・鉄道空白地帯の今と未来

駅舎
リビオタワー側から見た駅舎
改札フロア
海老名方面ホーム
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羽沢横浜国大駅は相鉄JR東日本の直通運転に伴い設置された接続駅。相鉄は西谷駅新横浜駅へと繋がりますが。JR線は当駅から分岐し、東海道貨物線を経由して武蔵小杉駅へと至ります。

駅舎は相鉄の管轄となるため、近年同社のブランドアッププロジェクトに基づいた、ダークグレーの配色にレンガや鉄、ガラスを施したおしゃれな外観となっている。
ホームは地下に2面2線の対向式ホームとなっており、2社の接続駅であることから乗務員の交代が行われます。

新横浜寄りの線路見渡すと、分岐していることがわかりますね。両端に逸れる線路がJR線へと繋がる線路で、中央寄りの2線は新横浜駅へ。開業からしばらくはJR線直通の列車が日中2〜3本/時(最大4本)の間隔となっていましたが、2023年3月18日の東急新横浜線との直通によって日中6〜7本、朝ラッシュ時最大14本にまで激増。利便性も一気に向上することとなりました。

駅前の様子はというと、すぐ横を横浜市の主要道路である環状2号線(環2)が通るため、車の往来が非常に多いエリアとなっています。

自転車・バイク置き場
駅前の跨道橋と自転車・バイク置き場
東側へと通ずる跨線橋
東側の様子
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駅を出たらすぐ道路を跨ぐ跨道橋が設置され、西側へ行くこともできる他、すぐ横を通る貨物線を跨ぐ跨線橋とも一体となっており、東側のエリアへのアクセスも可能となっています。

羽沢横浜国大駅バス停

駅前にはバス停もあり、保土ケ谷駅西口〜新横浜駅を結ぶ神奈中バスの路線(121系統、131系統)が運行されています。相鉄新横浜線延伸前ではあるものの、実は現状でも新横浜駅へのアクセスは可能。本数は1時間に1〜2本と少なめなのと、新横浜駅方面のバス停は跨道橋を渡った場所にあるので要注意です。

さらに相鉄・JR直通線は運転見合わせ等輸送障害が出て直通運転が中止になると、当駅で折返しとなる場合があり、そうなると鉄道での接続は不可能。15km以上先の武蔵小杉駅まで戻る羽目になりますが、121系統を利用すると新横浜駅、もしくは相鉄線・上星川駅〜天王町駅保土ヶ谷駅などに出ることができますので、もう少し機転の効く行動ができそうです。こうしたアクシデントでもバスで振替輸送もできることを覚えておくと良いでしょう。

建設中のリビオタワー羽沢横浜国大

また駅のすぐそばでは、高層マンションと思わしき躯体が絶賛建設中。

駅に展示してあるリビオタワー案内

駅構内に案内板が設置されていました。リビオタワー羽沢横浜国大という23階建てのタワーマンションで、低階層部分は商業施設となるようです。

駅前の平面イメージ図

平面イメージ図はこんな感じ。駅とマンションの間に駅前広場が設置されるようです。

駅前の仮設駐車場

駅前広場の横に設置されている仮設の駐車場。平面図で見ると第三者所有地となっていますが、このまま駐車場になるというわけではなさそう・・・?おそらく何かしら整備されるのでしょう。

町の名前

街の名前はハザワバレーとなるそうです。

クリエイト

現在先行して医療機関やドラッグストア・クリエイトが入居する建物が営業しています。

のどかで騒がしい 駅周辺の様子

環状2号線
環状2号線

前述でもご紹介していますが、駅前には主要道路にもなっている環状2号線が通り、終日にわたって車の往来が激しく騒がしさがあります。

羽沢横浜国大駅近くの農村地帯
高台を上がると横浜の都心部が見渡せる
羽沢横浜国大駅近くの農村地帯
さらに北側は東海道新幹線が走る

一方で駅の跨道橋を西側へ行くと、住宅が一気に減り、畑が一面に広がる農村地帯となります。

また高台の上には橋のような躯体があるのですが、その下には川も道路もなく土にしっかりと埋まっています。が、その周りは工事のバリケードで囲われています。調べたところ羽沢池辺線という道路の建設予定地のようですが、工事が進められている様子はなさそうです。

このあたりが環状2号線と接続するジャンクションのようで、側道のアンダーパスは整備されています。整備開始日は平成4年とのことですが、果たして完成する日は来るのか・・・?

ホントはあったんです、駅。けど人は乗れません

羽沢横浜国大駅のある横浜市神奈川区の羽沢地区は、当駅開業まで長らくの間鉄道空白地帯となっており、最寄り駅に向かうにもバスなどを利用する他ありませんでした。
ただしそれは旅客利用ができる路線に限った話で、実は当駅が設置されるよりずっと前にここにはまた別の鉄道駅がありました。

横浜羽沢駅
横浜羽沢駅の全景

それは当駅に隣接する東海道貨物線横浜羽沢駅という貨物列車専用の駅。旅客用のプラットホーム等も当然ながらなく、駅構内にはコンテナなどが積み上げられています。

相鉄・JR直通線はこの貨物線の一部を利用して運行されている路線。武蔵小杉駅を過ぎたあたりで転線し、鶴見駅付近を通過するとと長いトンネルへと入ります。そこを抜けると貨物線から離れ、羽沢横浜国大駅へと入っていきます。現有路線の活用がこのような直通運転を実現したということですね。

直通線はここまでですが、貨物線はもちろんこの先も続いていきます。この先また長いトンネルへと入り、今度は横須賀線の東戸塚駅付近で地上へと出て旅客線と合流します。

駅名の由来”横浜国大”はどこに?

東側へと通ずる跨線橋

当駅が立地する羽沢エリアをご紹介しましたが、もうひとつ駅名につけられている「横浜国大」。正式名称は「横浜国立大学」ですが、見る限り駅前には大学のキャンパスらしき施設はどこにも見当たりません。

どこにあるのかというと・・・キャンパスは当駅から北東に約1kmほど(徒歩約15分)の場所にあります。

駅前の跨線橋を渡るとすぐ坂道が立ちはだかります。これを迷うことなく登っていきます。

坂道を登りきったらすぐ右へ曲がり、まっすぐ進んでいくと、左手側にこのような景色が見えてきますので、坂道をゆっくり下っていきましょう。目の前のビルが並んでいる場所こそが横浜国立大学のキャンパスとなります。

駅から最も近いのはこちらの北門。筆者と同じ方角に歩いていく学生さんらしき方をちらほらお見かけし、こちらのほうへ入っていきました。

駅からさほど距離は感じませんでしたが、住宅街の中を通るため、通り道にコンビニなどのお店がありませんので、お買い物等は事前に済ませておくとよいでしょう。

また他の交通アクセスとして、横浜市営地下鉄ブルーライン・三ツ沢上町駅(徒歩16分)や、相鉄本線・和田町駅(徒歩20分)もありますが、横浜駅西口からキャンパス内に乗り入れるバス路線もあるので、利便性や学部によって使い分けるのがよさそうです。

まとめ

のどかな農村が広がる鉄道空白地帯(厳密には違いますが)だったエリアに突如接続駅として設置され、駅前で街の開発も進められている、目覚ましい発展を遂げつつある羽沢横浜国大駅。
筆者も昔からここに貨物駅があったことは存じており、ここに旅客線ができれば便利になると思うんだけどな〜と、素人の発想・妄想を繰り広げていたら、本当に実現しちゃった・・・!?的な感覚になっておりました(笑)

駅前は横浜市郊外らしい雰囲気はあるものの、駐輪場は結構埋まっている印象でしたし、かなりの需要の高さが伺えます。
ハザワバレーの完成や、東急との直通運転開始による利便性向上など、まだまだ発展の余地のある羽沢エリア。今後もその動向を追っていきたいと思います!

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