2012年2月、東京の新たなシンボルとして、いまだかつてないほどそれは高く高くそびえる塔が建ちました。その名は東京スカイツリー。それまで電波塔として使われていた東京タワーに代わり開設、以降電波塔としてはもちろん、東京の観光名所としても一躍有名になりました。その最寄駅となっているのが、今回ご紹介する押上駅ととうきょうスカイツリー駅です。無論スカイツリー開業前より駅はありましたが、路線数の増加と開業後はみるみるうちに発展していきました。そんな両駅ですが、スカイツリーだけに非ず!来たら一度は注目したいスポットも持て余すことなくご紹介していきたいと思います。
実は歴史の長いターミナル駅だった
まずご紹介するのは押上(スカイツリー前)駅。元より京成電気軌道(現在の京成電鉄)のターミナル駅として1912年(大正元年)に開業。現在は京成押上線が乗り入れますが、1960年(昭和35年)に都営浅草線が開通すると両線間で直通運転を開始。しばらくは両線の境界駅となっていましたが、2003年(平成15年)には東京メトロ半蔵門線が当駅まで開通。同時に東武伊勢崎線との連絡線が敷かれ、相互直通運転を開始。4線を結ぶターミナル駅となりました。無論駅前はスカイツリータウンとも直結しており、ロータリーも設置されています。また東武伊勢崎線の線路を挟んだ向こう側には東武鉄道本社ビルがあります。
一方のとうきょうスカイツリー駅。東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の単独駅ですが、スカイツリー開業前までは業平橋駅(なりひらばし)として営業していました。実はその前はなんと浅草駅を名乗っており、数多くの頭端式ホームを有するターミナル駅でした。今ではその面影を見ることはできないのですが、それもそのはず。その跡地を利用して建設されたのが、東京スカイツリーとスカイツリータウンなのです。そうした歴史や背景から観光スポットの最寄り駅に相応しい駅名となり現在に至っているのですね。またとうきょうスカイツリー駅は現在高架化と駅ホームのリニューアル工事が進行中。2022年度には両複線が高架化され、2024年に完成予定だそうです。
日本一天空に近い、世界一高い塔・スカイツリー
もうここまでにたくさんその名を出し続けていますが、押上駅・とうきょうスカイツリー駅最大のみどころとなるのが、日本最高の電波塔・東京スカイツリーです。それまで使用されていた東京タワーに替わり2012年より地上デジタルテレビをはじめとした放送送信設備を備えた電波塔と、その他観測施設として運用されています。また東京タワー同様、展望デッキも備えた東京の観光スポットとしても一躍有名になりました。その高さは634m。最上階の展望スペースの展望回廊までの高さはおよそ450mで日本一。電波塔としてはなんと世界一の高さを誇ります。また634は東京の旧国名である「むさし(武蔵)」の語呂合わせとされており、今ではその語呂も高さも広く認知されています。
天空の城下町・スカイツリータウン
世界一高いスカイツリーの根元にはさまざまな魅力あふれるスポットが満載!それがこのスカイツリータウン。商業施設を中心にオフィスビルなどからなる複合施設となっています。商業施設は東京ソラマチとして営業。300にも及ぶ店舗が入り、スカイツリーにちなんだ商品を販売するお店などもあるので、たびたびテレビ番組などで取り上げられています。浅草からも近く観光スポットともなっていることから、修学旅行生や観光客も非常に多く、平日・休日問わず常に賑わっています。
また施設内にはさまざまなスポットも多く入り、そのひとつがコニカミノルタプラネタリウム天空 in 東京スカイツリータウン。スカイツリーとオフィスビルの間にあるドーム状の建物がプラネタリウムとなっています。
イーストヤードの9階には、郵便の博物館・郵政博物館があり、「心ヲツナグ 世界ヲツナグ」をコンセプトに約33万種もの切手や郵政、通信関係の資料などを展示しています。
展望台エントランスと同フロア・西側にあるのがすみだ水族館。ペンギンやオットセイを近くで感じられる開放型水槽や、小笠原諸島の海をテーマにした小笠原大水槽。約500匹のミズクラゲが作り出す幻想的な水盤型水槽・ビッグシャーレなどがみどころです!
ソラマチだけじゃない、周辺を支える商業施設
スカイツリーとソラマチさえ行ければもう満足?そんなことはないはず!とうきょうスカイツリー駅の横断歩道を渡り、東武の高架線を浅草方面に歩いていくと、高架下にそれはそれは素敵なお店が並ぶ東京ミズマチが見えてきます。2020年にオープンしたばかりのニュースポットで、多用な宿泊需要に対応したホステルや、おしゃれなカフェなどが入り、川沿いが遊歩道になっているので開放感を味わえるのが魅力のスポットとなっています。ツリーを眺めながら東武の電車が走っていく姿はインスタ映え間違いなし!
押上駅方にはロータリーの向かい側にあるライフセントラルスクエア押上駅前店。大手スーパー・ライフの巨艦店となっており、地上1階と地下の2フロアからなる広々とした売り場に数多くの食料品が陳列されています。また2階フロアにはニトリも入ります。
界隈に点在する周辺のみどころ
この地にすっかり根付いたスカイツリーですが、それ以外の見どころもちゃんとあります。スカイツリーのすぐ横を流れる北十間川もツリーの建設とともに再整備が行われ、思わず歩きたくなる親水地となっています。またツリーを挟んで西側には東武橋。東側には京成橋というそれぞれ押上駅に乗り入れる事業者の名前のついた橋があるのですが、なぜこのような名前がついたのかは定かではないものの、やはり両者でこの地にターミナル駅ならびに本社(※1)を構えていることが起因するのでしょうか?情報がないので今度じっくり調べてみたいと思います。
(※1)=京成は2013年に千葉県市川市の京成八幡駅前に本社機能を移転。
また錦糸町駅のレポでご紹介した大横川親水公園は、最北端が当駅付近まで伸びます。東武橋付近には観光案内所や、なんと無料で利用できる釣り堀なんかもあります。
京成橋から北十間川を東へ進み、二股の道を少し入ると、わんぱく天国なる公園が。園内には子供たちが入るなり目を輝かせながらはしゃぐであろうアスレチック遊具が集まり、想像したとおりたくさんの子供たちが駆け回っています。園内はプレーリーダーなる監視員の方もおり、子供たちの見守りや遊びの手伝いもしてくれるそうなので、保護者の方も安心して遊ばせることができます。
まとめ
日本一、世界一の天空の樹・スカイツリーが根を張り、その城下町として急激に発展をしてきたこの押上の街。かつては起点として各方面へ線路を伸ばすも、時代は変わり線路を地下へと移設し、境界地点として数多くの路線が乗り入れるようになりました。またターミナルの跡地を利用し、新たな街づくりがされた後、駅名を変えて新たな街に馴染ませる姿もありました。
実は開設1年半、おかげさまでこの記事でようやく50件目のえきレポとなりました。今ある街の風景はもちろんですが、元よりこの地にある要素にも目を向けることで見えてくるものもあるのだなと、改めて感じることができた気がします。そこに駅があるのには、必ず意味がある。ペースは遅いですが、その意味をこれからも探し続けていきたいと思います。