東京都の北側は例外なく埼玉県に面していますが、その両都県を繋ぎ、東北や上越などの地方都市を結ぶ路線網が一同に会する主要駅の一つとなっているのが、この東京都北区にある赤羽駅です。JR線の単独駅となりますが、京浜東北線と埼京線、湘南新宿ラインや上野東京ラインを含めた高崎線、宇都宮線が乗り入れ、東京と大宮を結ぶJR線は例外なくここ赤羽駅を経由します。
そんな赤羽駅ですが、東口を中心に商業が盛んな地域で、飲み屋街が近年盛り上がりを見せる一方で、本当に住みやすい街として注目を集める一面も?!
そのギャップと真意を探るべくレポートしていきたいと思います。
線路を境に違う顔を持つ駅周辺
まずご紹介するのは、終日多くの人で賑わう赤羽界隈の繁華街・東口。駅を出るなり駅前広場とバスロータリーがお目見え。ロータリー以外にも、駅前通りや東本通りにもバス乗り場があるのでご注意ください(赤羽駅東口バス乗り場)。スーパーなどを含めた各商業施設も多く集まり、飲み屋街があるのもこの東口になります。
一方の埼京線・新幹線側の西口も、ロータリーや駅前広場を有し、正面にイトーヨーカドーなどの商業施設はあるものの、東口とはどこか違う雰囲気がある街。並木道があったり、西側が台地になっていたりと、閑静さはありつつも、駅前はやはり賑やかな印象です。
駅を彩る商業施設
総じて商業施設の多い赤羽駅周辺ですが、まず外せないのは駅ナカ・ecute赤羽。改札内フロアの大半がこのエキュートが占め、飲食店やデリカテッセン・和洋菓子店、雑貨屋などが展開されています。BECKSを始めとしたカフェも複数あるので、ちょっとした時間つぶしも改札内でできます。
東口最大規模となるアーケード型商店街・ララガーデン 赤羽スズラン通り商店街。赤羽界隈では最大規模の商店街で、アーケード沿いにはダイソーやダイエー赤羽店などもあり、少し外れには西友もあるので、お買物スポットが充実しています。
JRの高架下大宮寄りに沿って並ぶビーンズ赤羽。スーパーや各種店舗と奥にはホームセンターが入ります。
所変わって西口周辺で最大規模となるイトーヨーカドー赤羽店。地下の食料品売場から6階の専門店街まで充実性はさすがのイトーヨーカドーならでは。
駅前広場を挟んで真正面にあるビビオ。サイゼリアや星乃珈琲店などの飲食店、2階のユニクロ・ABCマートを中心としたショッピングセンター。イトーヨーカドー向かいの歩道になぜか七福神の銅像が並びます。
道路を挟んでイトーヨーカドーの真向かいにあるのが赤羽アピレ。雑貨やファッション系の店舗が中心となっています。
駅の規模から見ても、商業施設もかなり充実しているような感じで、お買い物に困ることはなさそうです!
昼から飲める!格安センベロの聖地
さて、赤羽といえば、清野とおる氏が原作の漫画「東京都北区赤羽」や、山田孝之氏が主演したドキュメンタリードラマで一躍有名になった街として知られていますが、それらの代名詞ともなったのが、東口界隈に立ち並ぶ飲み屋街。ロータリー向かい側にある1番街や赤羽中央街をはじめとした周辺商店街に、大衆居酒屋が所狭しと立ち並んでいます。旨くて格安のお店が多く、そのコスパの良さとはしご酒を楽しめることからセンベロの聖地としても有名です。
懐かしささえ漂う昭和の雰囲気もあるお店が並びますが、ここ赤羽は他の飲み屋街とは一線を画す特徴が。それはお店が日中から開店しており、昼間からお酒を楽しむお客さんが多いということ。早いお店では11:00〜開店しているお店も。
全国チェーンの居酒屋・ミライザカでさえここ赤羽では12:00オープン!昼呑みが赤羽の文化となっているようです。
こちらは1番街から横に逸れる道に入った場所にあるOK横丁。小規模の立ち飲みバーなどが多いのが特徴です。
その奥にある明店街も提灯が吊り下げられた何ともレトロな雰囲気。これが夜になるとさらにムードが高まるのでしょう。
また赤羽の飲み屋街で特徴的なのは、飲み屋街にも関わらずどの店も酔っ払いの入店をお断りしていること。飲み屋にも関わらずどういうことか!?と思いますが、こうしたルールが昼呑みという文化を生み出しているのかもしれません。そのせいか居酒屋の前を通っても、嫌な感じがなかったのは気のせいではなかったようです。
ここ本当に23区内?と疑いたくなる、赤羽のみどころ
西友横の路地を入り、裏手に回ると斜向かいにある赤羽公園。銅像や時計台、遊具広場のオブジェが特徴的な公園ですが、休日は子供たちで賑わっていました。人通りも多い場所にあることから、日向ぼっこをするご年配の方もちらほら。
西口を出てさらに西側へ進むと、坂道の多い台地が連なる山の手エリアに差し掛かります。場所によっては高低差があったり、お店もない閑静な住宅街になるため、このあたりを歩いていると自分が本当に東京にいるのか疑いたくなります。
西口から弁天通りを1kmほど進み、それはとても東京23区内にいるとは思えない緑あふれるこちらは赤羽自然観察公園。入口入ってすぐにある藁葺き屋根の民家はふるさと農家体験館で、建物内の公開と昔の農具の展示、農業や昔の体験ができる施設となっています。
西口から大宮寄りを線路沿いに歩くと、埼京線や新幹線のトンネルのちょうど上にあるのが赤羽八幡神社。トンネルの横には鳥居が見えます。御朱印が月替わりに色が違うそうで、季節ごとに絵も変わるそう。またその御朱印やお守りに「∞(インフィニティ)」が用いられることから、同じ記号を用いて活動するジャニーズのアイドルグループ・関ジャニ∞の聖地として、ファンから愛されているそうです。
さらに新幹線のトンネルの上、東北本線系統(京浜東北線・高崎線・宇都宮線)の線路の横という立地条件から、鉄道ビュースポットとしても知られています。
昭和の団地は新たな街並みへ 西側で進む再開発
東京23区とは思えない山の手の街並みが形成される西側エリアですが、遠目から見るとクレーンや足場が建つ工事現場が見えてきます。その場所へ近づくなり、なんと通行止めの看板が。7/1以降通り抜けができなくなるとのことなので、今のうちに行ってみました。
先へ進むと、広範囲に渡って工事用のバリケードが張られています。クレーンが多く置かれていましたが、建設途中のマンションと思われる躯体と、なんと団地と思わしき建物が見えてきました。
そう、こちらは赤羽台団地という旧・公団(現・UR)が管理し、昭和の高度経済成長期に建てられた大規模団地のひとつです。
現在建物の老朽化によって順次建て替えが行われ、一部はヌーヴェル赤羽台として生まれ変わり、その残りの一部も建て替え工事が進められています。日本の経済成長の象徴とも言える団地ですが、時を超えてこんなにも様変わりするとは・・・と訪れて驚いたのは言うまでもありません。昭和を象るものが消える寂しさもありますが、またさらに住みよい街に発展していく期待も高まります。
まとめ
昼間から開店する居酒屋が並ぶセンベロの聖地、はたまた東京都心部とは思えないただただ閑静な住宅が並ぶ、双方で全く違う街並みを形成する赤羽。これまで東京〜埼玉へ向かう際、乗換では利用したことがあるものの、下車したのは今回が初めてでした。漫画やドラマで飲み屋街があることはかねてより存じてはいましたが「多分治安がそんな良くないのだろうなぁ・・・」というイメージをしていました。ところが訪れてみるなりそれは一気に覆されることとなり、昼呑みがあったとて全く治安の悪さを感じません。それどころかお客さんそれぞれがきちんとした形でお酒を楽しんでいるような感じもしました。
さらにはその街並みと打って変わって、西口のほうを歩くとそこは全く別世界。横浜の郊外に来たんじゃないかと錯覚してしまったほどです。
そうした背景からなのかはわかりませんが、赤羽は2019年に「本当に住みやすい街ランキング(※)」で第一位を獲得しました。
最初は失礼ながらその評価を少し疑っていたところもありましたが、訪れた後の今では十分すぎるくらい納得感が得られました
他ではない文化があるからこそ、徹底したルールを設け、東京のイメージを覆す街づくりを実現したこの街は、たしかに本当に住みやすい街なのではないかと思います。ぜひぜひ一度訪れて、その魅力を確かめてみることをオススメします!
(※)本当に住みやすい街大賞2019(ARUHI)