市川真間駅周辺 ―毎年駅名が変わる、愛が詰まりし駅―

市川真間駅周辺 ―毎年駅名が変わる、愛が詰まりし駅―

千葉県
2022.05.20 2022.06.14
ICHIKAWA-MAMA

東京の下町を横目に風情漂う街の中を駆け抜ける京成本線。江戸川の鉄橋を越えて2つめの駅となるのが、今回ご紹介する市川真間駅です。2面4線を有する緩急接続が可能な駅ですが、停車するのは普通のみ。そのせいか一気にローカル感も高まるのですが、実は並行するJR総武線で最寄りとなるのが快速停車駅でもある市川駅。あちらは主要駅となるので、歴然の差が生じているのは否めないのですが、実はこの市川真間駅も主要駅のひとつだった過去が?そして1年に一度、なんともステキな改名が一時的にされる駅でもあります。

愛が溢れた駅とその周辺

市川真間駅周辺

駅は橋上駅舎となっており、地上に2面4線のホームを有します。エントランスは北と南に分かれ、京成高砂駅寄りに真間駅前通り会なる商店街が伸びており、バス通りにもなっています。

市川真間駅構内

駅構内は自動改札が4機並ぶシンプルなものですが、その横には3000形を模した手作りの写真コーナーに木彫りの人形。改札内には市川真間アートウォールなるギャラリーとなっていました。こういった駅を活気づける取り組みはローカル駅ならではでとても好きです。

市川ママ駅

そしてこの市川真間駅ですが、毎年春になると駅名が変わるちょっと不思議な駅。これは駅名にあやかって「市川ママ駅」となって、母の日に合わせて2019年より実施されています。駅名の他に看板やバス停にカーネーションのイラストが添えられ、記念乗車券の販売も行っています。駅や会社をあげての取り組みに、溢れんばかりの愛が感じられますね!

JR市川駅との関係とお買い物スポット

市川駅北口

江戸川を越えるあたりでJR総武線と京成本線はほぼ並走区間となり、至近距離に双方の駅が存在する場合もあります。市川真間駅でいうと、JRは市川駅が該当。快速線も停車する主要駅となっていますが、市川真間駅は普通のみ停車で優等列車はすべて通過となるので、競合駅とはならないようです。両駅の間は徒歩10分となりますので、いずれかの運転が見合わせた場合は、どちらかの駅を利用できると覚えておくと良いですね。

余談ですが、市川真間駅を通過する京成の優等列車は、本社もある京成八幡駅に停車(モーニング・イブニングライナーを除く)しますが、対してそちらと至近になるJR本八幡駅は、逆に総武快速線は通過となります。

真間駅前通り

両駅間での徒歩連絡の目印となるのが、オリンピック市川店前の交差点向かい側にある、真間駅前通り会のアーチ。こちらを直進するとすぐ市川真間駅となります。

マックスバリュー

駅周辺の商業施設も、駅前にコンビニがある他は特に目立つものはありませんが、国道14号線へ出るとマックスバリュエクスプレス市川店があります。

馬刺しの自販機

駅の東側にある市川手児奈通りを北へ進んでいくと、偶然見つけたこれ!そう、お馴染みの馬刺しの自販機です。こちらは屋内型であることと、新鎌ヶ谷駅と同タイプの自販機が2台と、チルド用?のものが1台の計3台が置かれ、種類が豊富に取り揃えられていました。

普通しか停まらない駅に路線のルーツが

本多貞次郎頌徳碑
本多貞次郎頌徳碑

前述の通り、市川真間駅は普通列車のみが停車する至って平凡な駅という印象ですが、昔はなんと終着駅として機能していました。1912(大正元)年に押上駅江戸川駅間が開業した2年後の1914(大正3)年に江戸川駅から延伸を果たし、市川新田駅として開業しました。もともと市川は豪邸が集まる高級住宅街だった他、料亭などが並んでいたことで賑わっていたそうです。

今では考えられないかもしれませんが、駅の北側は京成電鉄が直営していた「東華園」という遊園地があり、さらには京成電鉄の創設者として知られる本多貞次郎の邸宅もあったそうです。その跡地と思わしき場所に写真の本多貞次郎頌徳碑が建てられています。

旧京成電鉄社員倶楽部

頌徳碑の少し駅寄りには、西洋風のいかにも歴史を感じる建物があるのですが、こちらは旧京成電鉄社員倶楽部として建てられたもの。しかしどういうわけか、竣工後まもなくして葛飾瓦斯(現京葉ガス)の本社屋として使用されることとなり、現在は個人所有の建物となっているそう。建物の中からは卓球のボールを打つ音が聞こえてきました。

まとめ

待避設備をを有しながらも、優等列車はことごとく通過してしまう。至近にあるJR市川駅との差が歴然ではありますが、母の日にちなんだ毎年春に行われる期間限定の駅名改称。改札前の写真撮影コーナーやギャラリーなど、平凡ながらもそこには人の想いがギッシリ詰まっている。さらには京成電鉄の歴史がそこにはしっかりと残り、後世へと繋ぐ大切な役割も担う。市川真間駅には人が築き上げてきた暖かみのようなものを感じることができました。想いも歴史も、人がいなければ成り立ちません。これからもそんな時代とともに、人々の想いを紡いでいく街であってほしいと願っております。

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