【下北沢駅周辺を歩いてみた】再開発で生まれ変わる文化の発信地

【下北沢駅周辺を歩いてみた】再開発で生まれ変わる文化の発信地

東京都
KEN
2020.09.24 2021.07.07
SHIMO-KITAZAWA

いつも大勢の人々で賑わう、東京都世田谷区にある下北沢ことシモキタ
こちらは東京23区内でも有数の繁華街であることは言うまでもなく、古くは服飾用の布地や古着、雑貨から始まり、現在はそれに加えて音楽、演劇、アートといった様々なサブカルチャーのトレンド発信地として全国的に広く認知されています。

個性的なショップ達が立ち並ぶ雑多な路地でウィンドウショッピングしていると、まるでコレクションケースのお気に入りの雑貨を眺めてるようなハッピーな気分になっちゃう。そんなシモキタの空間が、2019年の駅のリニューアルをきっかけに爆発的に広がりつつあるいう噂を聞きつけてしまい、その真相を確かめるべく偵察に訪れてみました。

まるで毛細血管のように入り組んだストリート

下北沢のルーツとしては、明治時代までこの地に存在した下北沢村の存在があります。起伏に富んだ地形と豊かな水資源に恵まれた下北沢村では水田での稲作も盛んでしたが、1927年に小田急線の下北沢駅の開業が現在へ続く発展のきっかけとなりました。ただし、大規模な区画整理が行われずに住宅地と商業地が密集し、道路は昔ながらの狭いままという点が結果的にシモキタの独特な雑多感に繋がっています。

それでは、まず小田急線下北沢駅の東口(京王線中央口)から歩き出してみましょう。

下北沢駅周辺の商店街

一旦路入り込むと、自動車がまともにすれ違えない狭小な路地に新旧の個性的な店舗が立ち並び、まさにサブカルを凝縮して煮詰めたような独特の街並みのシモキタ。閑静な住宅街のイメージが強い世田谷区の中でもここだけは別世界のようです。

下北沢駅周辺の商店街

こちら側は個性的なアパレル店や雑貨店が比較的多く、おしゃれ感度の高いファッショニスタにはたまらないエリアでしょう。たくさんのバラエティ豊かなショップが路地に入り組んでいますが、住宅街と共存しているため過度に騒々しい感じはありません。ウッドデッキを構えた住宅兼ブティックなどもちらほら見かけることができ、入り組んだ路地で洗練された感性に出会うこともしばしば。

新宿、渋谷、吉祥寺という全国区の知名度をもつファッションタウンとも鉄道でわずか5〜10分程度で結ばれていますが、シモキタファッションはトレンドの王道というよりは先鋭的なデザインや古着の着こなしを楽しむ方向ですので、そんなことが好きな方には間違いなくハマる街でしょう。

下北沢駅南口商店街

続いて、下北沢駅の小田急中央口から南口商店街へ足を向けてみましょう。

写真右側の工事用バリケードの向こう側に存在した、今は無き南口がその名前の由来となっています。このあたりは、週末になると自動車はおろか自転車の通行も難しいほど激しく混雑するエリアですが、特にレストランや居酒屋、劇場、ライブハウス等が密集しています。

下北沢駅周辺の商店街

本格的な車社会が到来する前からの商店街のため、メインストリートでさえこの狭さです。

街路樹までデザインされた丸の内や代官山のようなスタイリッシュさはありませんが、昭和の雰囲気漂う懐かしい街並みをぶらぶらしていると、必ずハートにビビっとくる個性的なお店がいくつか見つかるはず。そんなところを隠れ家としてちょくちょく通ううちに、いつの間にか第2のホームタウンとなっていたという芸能人もちらほらいるようです。

新宿、渋谷、吉祥寺のそばだけど、乗り換えるだけではもったいない

下北沢駅舎

さて、駅前に戻ってきましたので今度はこちらも見てみましょう。今では小田急線と京王線のターミナル駅の役割を果たし、ともに急行停車駅となっている下北沢駅ですが、単に乗り換えだけでなくシモキタそのものを目的として訪れる人も非常に多く、私鉄のみの駅としては週末は異例といえるほど混み合います。

下北沢駅舎

かつて地上線だった小田急線下北沢駅ですが、複々線化に伴う地下化工事が2019年に完了したことで駅舎がリニューアルされました。地下化で生まれた地上線跡地については後ほど詳しく述べますが、急行線と緩行線は地下1階と地下2階に役割が分けられ、ホームドアの設置も現在進行形で進んでいます。階段移動がメインだった京王線との乗り換えは、新設されたエスカレーターとエレベーターによって大幅に楽になりました。

京王井の頭線 下北沢駅

京王線の下北沢駅は、地上線時代の小田急線をクロスオーバーする高架駅となります。駅の場所は以前と変わっていませんが、小田急線と合わせてエレベーターやエスカレーターが新設され、コンコースや出入口がリニューアルされました。

京王井の頭線 下北沢駅

一方、京王線の下北沢駅の西口にはリニューアル前の昔懐かしい雰囲気が今でも残ります。小田急側では高架橋だった線路が反対側のこちらでは地上線になり、農村時代の起伏に富んだ下北沢の地形を伺わせます。

小田急の地下化で広がるシモキタ領土

小田急線が半世紀にわたって進めてきた複々線事業ですが、2019年の下北沢駅の地下化で全て完了し、輸送力が大幅に増強されました。これによって混雑率や遅延率、所要時間が改善されたのは言うまでもないのですが、それに加えて下北沢駅周辺では撤去された地上線の広大な跡地が生まれました。

下北沢駅周辺 再開発地区

小田急線下北沢駅から小田原方面を望むと、かつて線路が伸びていた場所が長い空き地になっています。この風景は同じく地下化されたこの先の世田谷代田駅、そして反対側の東北沢駅を含む3駅分1.7kmにわたり続いているのですが、都心ににこれだけ広大な土地が生まれることは、特に道路の拡張もできないほど過密なシモキタにとってはちょっとした事件なのです。

この地上線跡地を所有する小田急が世田谷区と開発しているのは、豊かな緑と街とのつながり、そして高い回遊性が特徴的な新しいエリア、その名も下北線路街です。具体的には商業施設のほか温泉旅館、保育園、学生寮、イベントスペースなどが計画されており、サブカルチャーの街・シモキタが広がるだけでなく、100年近くにわたって分断されてきた南北の地域が1つになるという劇的な変化が訪れようとしているのです。

シモキタエキウエ

リニューアルした小田急下北沢駅の中も負けてはいません。地下ホームへの入口となる駅舎はガラス張りのモダンな地上2階建/地下2階建の構造となっていて、起伏に富んだ地形を活かしたことで1階・2階どちらからもアクセスできるようになりました。

自然光をふんだんに採り込む天窓と、開放感吹き抜け空間が特徴的なシモキタエキウエは、個性的な16店のテナントが入居する新しいショッピングエリア。都心によくあるような大型デパートを建てるのではなく、多様性あふれるシモキタの街並みをそのまま駅ナカにも展開している点が、この街のカルチャーを熟知した小田急らしい再開発といえるのではないでしょうか。

下北沢駅周辺 再開発地区

続いて、今度は反対側の新宿方面へ行ってみましょう。かつて、ここには世田谷の台所との異名をもつ北口駅前食品市場、そして南北の商店街を分断していた開かずの踏切がありましたが、せわしなく行き交う小田急線と共にその姿を消しました。辺りは綺麗に整地され、やがて誕生する新しい空間に期待が高まりますが、こんなに広いシモキタの空が拝めるのは今だけかもしれませんね。

下北沢駅周辺 再開発地区

バリケードの向こうで開発が急ピッチで進む下北線路街。遥か東北沢駅まで続くとされるその新しいエリアの誕生は、シモキタのみにとどまらず複々線化でスピードアップした小田急線全体の魅力をさらに高めることでしょう。

まとめ

かつては農村から始まり、やがて全国有数のサブカルチャーの街として発展を遂げた下北沢。その姿を変えながら昭和、平成という時代を駆け抜けて、令和の世でついに拡張・新エリア誕生と最新の動向から目が離せません。

しかし、シモキタの持ち味である昭和の東京の雑多な街並みを潰してしまうのではなく、共存・発展の道を街全体で歩む姿からは、多様なカルチャーに対するシモキタの寛容性そのものを感じられるのではないでしょうか。

懐かしくも新しい街・シモキタ。

あらゆる要素がクロスオーバーするその魅力に触れてみてはいかがですか。

KEN

1983年生まれ、東京都町田市出身。現在は妻・息子と3人で東京都で何事もなく平和に暮らしている。
子どもの頃からの乗り物好きが高じて機械工学を学び、某エレクトロニクス企業のエンジニアとして品質保証に携わる。
趣味はクルマ、オートバイ、音楽作成、鍵盤楽器、機械いじりのほか、乗り物全般を見たり乗ったりすることが好き。
元々は飛行機とクルマが大好きだったが、最近は息子の影響で興味のターゲットが鉄道にロックオンされつつある。推し鉄は小田急。
音楽はB'z、Do As Infinityの他、ハウスやヒップホップ、ユーロビート等も好む。映画はアクションの他アニメーションも好きで、特に新開誠監督の作品には目がない。

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