東京駅から快速で約25分、西船橋駅から約5分ほどの位置にある、JR京葉線・南船橋駅。
1986(昭和61)年京葉線開業とともに開業した当駅は、快速停車駅となっている他、武蔵野線の直通列車の大半が当駅で折り返します。
周辺は東京湾からほど近く、工場や倉庫などが集まる工業地域でもあり、大型商業施設も集まる、終日賑わいのある街となっています。
駅前の開発なども急ピッチで進む、湾岸の街の今を見てきました。
もくじ
武蔵野線の大半が起終点となる駅
当駅は京葉線の開通とともに開業し、2面4線のホームを有するわりかし大きな印象を持つ駅。一見待避設備があるように思えますが、中線である2・3番線の蘇我方は行き止まりとなっており、この2線はおもに武蔵野線の折返し列車用となり、京葉線や海浜幕張方面へ直通する武蔵野線列車は、1・4番線から発着します。
改札口は高架線下にあり、1箇所のみの設置となります。付近に商業施設や競馬場もあるので、わりかし人の流れは多いのですが、意外とこれで事足りているということでしょうか・・・?
車に人に!賑やかさを増す駅周辺の様子
当駅は改札は1箇所のみですが、エントランスは2手に分かれており、特に人の流れが多い北側の出入口。
しばらく歩くと動く歩道があったりと、ららぽーとへの導線がメインとなっています。
京葉線の線路に沿って国道357号線や、首都高速湾岸線がそばを通りますが、特に357号線の浜町二丁目交差点は指折り数えるほどの渋滞区間にもなっており、週末は特に激しい区間にもなりますので、電車でのアクセスのほうが意外とスムーズといえます。
もう一方の南側出口。長らくの間空き地が広がる未整備区域でしたが、2022年8月30日より新しい駅前広場の供用が開始。さらには駅と直結する商業施設・ららテラス(後述)のオープンもあり、閑散とした駅前から賑わいのある街へと変貌を遂げようとしています。
ららぽとイケアのはじまり、ショッピングモールが集まる街
街の代名詞と言っても過言ではないのがららぽーとTOKYO-BAY。今では全国に展開するららぽーとの第1号店として1981年にオープンしました。
当駅との距離は徒歩5分ほどで、ルートには動く歩道などもあります。
施設は北館、南館、西館の3つと、間にあるハーバー通りから構成されており、北館に関しては現在老朽化に伴う建て替え工事が実施されています。
南口を出ると見える青と黄色のインパクトの強い建物は、スウェーデン発祥の世界最大規模の家具量販店・IKEATokyo-Bay。記念すべき日本第一号店として2006年に開業しました。
順路に沿ったお買い物導線と、倉庫型の大型家具ピックアップコーナー、商品コスパの良さも然ることながら、レジ前に現れるビストロコーナーのフードメニューも驚きの価格を実現しています。
ビビット南船橋はららぽーとの北側すぐ横に隣接するショッピングモール。ニトリやファッションセンターしまむら、ブックオフなど比較的店舗面積の広い店舗や、島村楽器や鉄道模型店・ポポンデッタなどカルチャーに富んだ店舗が入ります。またららぽーとと当店の間は人の流れがとても多く、ららぽーとにないテナントも多いことから、補完的な役割を担い、競合関係と言うよりは協合関係といったところでしょうか。
2023年11月29日、南口駅前に満を持してオープンしたららテラスTOKYO-BAY。2階建てのテラスづくりの建物に、36もの店舗が並びます。1階最奥部にあるGiGOは、現在建設中のららアリーナをホームとする予定の千葉ジェッツふなばしとのコラボ店舗で、チームグッズの販売のほか、カフェ・バーコーナーではアウェーゲーム時のパブリックビューイングなども楽しめるようになっています。
街の商業を担うのは、大型施設だけではなく、住民向けの小規模店舗だってあることは忘れてはなりません。
ららテラス脇に見える、昭和の雰囲気を残す大規模集合団地・若松団地の一角にあるスーパー・アコレ。
並びには飲食店や郵便局もあるものの、ほとんどが空き店舗のシャッター商店街になっています。当店が元気に営業しているような雰囲気です。
時代の流れとともにこういった商店の衰退も目立つようにはなってきましたが、こうして営業している場所がまだあるのも昭和生まれには嬉しいものです。
遊べる倉庫街、レトロな団地も!周辺のみどころ
駅の西側、倉庫街の一角にある三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)。真新しさを感じるオフィスビルのようにも見えますが、こちらは物流センターとなっているそう。
その敷地内には公園として一般開放されている&PARKがあり、屋外で楽しめる卓球台やピアノも設置されています。
同敷地内奥には船橋市在住のご当地キャラ「ふなっしー」をテーマにしたふなっしーパークがあり、ふなっしーをモチーフにした遊具などが置かれています。
ららテラスの奥側、真新しい建物とは一線を画す年季の入った建物は若松二丁目団地。
こちらは南船橋駅が開業する前、昭和の時代からこの地にある大規模団地。まさにこの地を知る先駆者と言っても過言ではないでしょう。


その他にも公共の公園なども整備されており、働く街・遊ぶ街だけでなく、住む街としてもしっかり機能していることが伺えます。
常に進化しつづけた、南船橋の過去と未来
開業40年弱と、わりとまだ歴史の浅い当駅ですが、実は駅の開業以前にもとんでもない歴史を持っている、深掘るととても面白い街なのです。その歴史を少し紐解いていきましょう。
現在イケアや高層マンションが建っているエリア、実はこの場所ららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)という屋内型のスキー場が建っていました。1993(平成4)年に世界最大の屋内スキー場としてオープンし、開業時期がスキーブームであったこと、東京ディズニーリゾートから近いこともあり人気スポットとなっていました。しかしスキーブームの終焉とともに来場者数は減少。2002年に閉場となり、その跡地に建てられたのが、イケアと後方の高層マンションだったというわけです。

南船橋の歴史を語る上で欠かせないのがこちらの写真。何だかわかりますか?
京葉線やららぽーとが開業する前、1970年代の写真でかつてこの地には船橋ヘルスセンターという超巨大娯楽施設がありました。遊園地から海水浴場、テニスコート、はたまたセスナの飛行場など、、、昭和の娯楽を一気に敷き詰めたような施設だったのですが、1977年に閉園。敷地の一部は後にららぽーとが建設され、付近も国道357号線と首都高湾岸線、京葉線も開通。埋立地もさらに範囲を広げ、現在のような工業地帯へと発展していきました。

最後にお伝えするのが、南船橋の今後の未来のお話。
MFLPの横ではLaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)が2024年春の開業に向けて工事が進められています。約10,000人が収容できる大型アリーナで、Bリーグ・千葉ジェッツふなばしのホームアリーナとなるそうです。
まとめ
ららぽーとやIKEAなどの商業施設が街を賑わせ、居住地域が隣接することから倉庫のイメージを覆し、地域との共存を目指す街。また過去には娯楽施設として開発され、時代とともに全く異なる変貌を遂げた数奇な発展をしてきた街でもありました。
地域に根ざす以上地域との連携は欠かせないものだと思いますが、その意志を街づくりの観点から気付かされたとともに、私自身もとても考えさせられるものでした。地域にとって何が一番重要で最適なのか。駅前を紹介するものとして、これからも考え、少しでもよりよい街づくりのお手伝いをさせていただければと思っています。