快適移動空間!横須賀・総武快速線の新型車両”スカレンジ”の魅力に迫る

快適移動空間!横須賀・総武快速線の新型車両”スカレンジ”の魅力に迫る

クローズアップ
2022.02.27 2023.01.21
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東京から神奈川県の三浦半島を結び、東海道線のバイパス線として機能する横須賀線。千葉県の市川・船橋・千葉などの主要都市を結ぶ総武快速線。東京駅を境に直通運転を行う両線は、首都圏においても重要な役割を担う幹線となっています。そんな横須賀・総武快速線は長らく専用車両となっているE217系が活躍していますが、2020年より新型車両E235系の導入が開始されました。山手線で導入された車両とほぼ同型ということで、さぞかしキレイで真新しい空間であること間違いなしかと思いますが、実際のところどうなのか。導入から1年経ち、何度も乗車している筆者のレビューも兼ねて、ぜひ知ってほしいその魅力をお伝えします。

あだ名は色と形から!新型車両E235系の概要

JR E235系1000番台

改めて今回の主役であるJR東日本E235系電車についてご説明します。JR東日本では2000年代より老朽化した各線の国鉄型車両の後継車両として、E231系やE233系車両の導入を進めてきましたが、さらなるサービスや安全性の向上を図るべく、2015年に山手線にE235系電車を導入。これを皮切りにこれまで活躍したE231系500番台を2020年までに置き換えました。そのE235系投入の第二弾となったのが、今回ご紹介する横須賀・総武快速線用のE235系1000番台です。1995年よりE217系が活躍している線区ですが、車両の老朽化に伴い、2020年12月より営業運転を開始。2022年2月現在では13編成が導入されています。今後も順次導入が進められ、期限は明言されていないものの横須賀・総武快速線の全列車がこのE235系に置き換えられる予定です。

E235系1000番台の編成
上段:グリーン車付きの基本編成(11両)下段:増結編成

横須賀・総武快速線用E235系の編成は、グリーン車2両を連結した11両編成の基本編成と、4両編成の増結編成で構成され、最大15両編成で運用されます。
車体の帯色はE217系でも使われている濃青とクリーム色のものを踏襲。この色は先代の113系でも使用されていた色で、国鉄時代から横須賀線のスカから引用して「スカ色」と呼ばれ親しまれてきました。さらにこのE235系では、そのスカ色の帯と独特な電子レンジのような前面デザインから、一部ファンからは「スカレンジ」の愛称も付けられているようです。

横須賀・総武快速線系統図

またその使用線区ですが、東京駅を境に西側が横須賀線、東側が総武快速線となりますが、さらに千葉駅から総武本線、成田線、外房線、内房線といった千葉県の各所を結ぶ路線とも直通するため、複雑さを極めています。

どこでも快適!スカレンジの設備を見る

E235系の車両

それではスカレンジの設備を見ていきましょう。車両側面は首都圏でよく見るJRの車両と同等で、青とクリーム色の帯が引かれています。

E235系の半自動ドアスイッチ
左図が外側、右図が車内のスイッチ。外側のスイッチは開く動作のみ。

E217系には設置されていない半自動ドアスイッチをスカレンジでは採用。末端のローカル区間などで活用されています。

E235系の客用ドア

車内の客用扉も一般的な4扉で、扉上部には近年の車両ではおなじみのLCD案内ディスプレイが2基設置されています。山手線用のE235系では17インチのものでしたが、スカレンジでは21インチとなり、大型化がなされてより一層見やすくなりました。

E235系の車内

車内の座席は青とグレーを基調とした路線らしさを取り入れたもの。E217系では千葉寄りの3両にセミクロスシートが設置されていましたが、スカレンジでは全車ロングシートとなり、首都圏の需要に合わせたものに変更されました。

E235系の座席

ロングシートになったことで、筆者は導入前に快適性と醍醐味が失われる不安があったのですが、それは無用な心配どころか、この座席なんと凄まじい改善がなされているのです。それは何かというと・・・

まずE217系のロングシートに比べ、座席幅が10mm広くなりました。10mmといえば1cm・・・あんまり変わらないじゃないか!と思うことなかれ。筆者の体感として、その分隣の人の足がギリギリ当たらないようになりました。これ本当にありがたい改善で、極端に足広げてふんぞり返ってる迷惑な人に悩まされることが減りました。(アレ本当に迷惑なので辞めてほしいです(怒))

さらに扉側の袖仕切りが大型化され、成人男性の頭ならスッポリ入るくらいの高さまで拡大されました。これによって眠たい朝夕の睡眠も、扉前に立つ人のリュックで干渉することもないですし、立ってる人も気兼ねなく寄っかかることができます。

この2点はスカレンジ最大の魅力ではないかと思います。

E235系の優先席

山手線同様、スカレンジでも車端部は優先席となりました。こちらは赤地の背もたれに「優先席」と書かれ、よりわかりやすさが強調されています。

E235系のフリースペース

車両のもう一方の車端部には、車いす兼フリースペースが設けられました。連結部側にクッションが設置されているので、ベビーカーを押して歩くパパママさんたちも楽に使える工夫がなされています。

E235系のデジタルサイネージ

こちらも山手線同様窓上に設置されたデジタルサイネージ。

E235系のトイレ

E217系でも設置されているトイレをスカレンジでももちろん採用。予てより横須賀線寄りの先頭車(増1号車と1号車)に設置されていますが、スカレンジでは6号車にも設置されるようになりました。

これ欲しかった!グリーン車に搭載された現代的設備

E235系グリーン車
グリーン車は他線同様4・5号車に連結されている。

横須賀・総武快速線といえばやはりグリーン車!E235系初となるグリーン車ですが、外観は既存のE231系やE233系とほぼ同じの2階建てグリーン車が2両連結。違いは行き先表示のLEDがE235系仕様になっているくらいでしょうか。

E235系グリーン車 車内
上段:階上席、下段左:階下席、下段右:車端部の平屋席

車内はこんな感じ。従来案内表示がLEDでしたが、スカレンジでは普通車同様のLCDディスプレイに進化。デザインもこれグリーン車仕様でしょうか?
座席のモケットはグレーと紫色のもので統一され、E217系で採用されていたフロアごとの色分けは無くなりました。

E235系グリーン車のコンセント

そしてスカレンジグリーン車で初採用となった目玉ポイントはこれ!なんと全席に電源コンセントが設置されました!これはスマホのヘビーユーザーや移動中PCを開くビジネスマンにとってはとても嬉しい設備。さらにJR-EAST FREE Wi-Fiによるフリーwi-fiも使用可能で、これによって移動しながらの仕事やスマホ充電、ネット通信が可能となりました。

筆者も何度か利用していますが、コンセントは本当に助かります。JR-EAST FREE Wi-Fiは案外ブツブツ切れるので、PC使用の際はポケットWi-fiやテザリングもできるようにしておくのがベターです。

まとめ

神奈川〜東京〜千葉を駆け抜け、今後もその数を増やしていくであろうスカレンジことE235系1000番台。筆者も総武線ユーザーで、運行開始初日にその乗り心地を体験し、以来その居住性の良さにすっかり虜となってしまいました。コロナ渦で出社する日もだいぶ少なくなったものの、普段朝ラッシュ時は普通車に乗っても帰りはグリーン車で帰るなんてこともザラなのですが、スカレンジに至っては普通車でも喜んで乗りたいと思いますし、言うなれば出社時は運用を狙ってまで乗車するようにしています。この居住空間をぜひ体験してみてほしいという願いと、利用者の皆さまが過ごしやすい環境になっていってほしいという願いを込めて、この記事をお伝えします。

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