東京都町田市は多摩エリアの南部に位置する街で、23区〜八王子市に次いで人口の多い都市でありながら、市域のほとんどが神奈川県との県境にあることから、神奈川県と間違われることもしばしば・・・。そんな町田市の中核を担うのが市と同名の町田駅。市内最大の繁華街となる他、JR横浜線と小田急小田原線、双方ともに優等列車が停車するターミナル駅にもなっています。人やモノが満ち溢れんばかりに集まる街の様子を見ていきたいと思います。
もくじ
元々別の駅。JR・小田急両社で違う駅前の様子
まず町田駅を語る上でお伝えしておきたいのが、当駅は前述のとおりJR横浜線、小田急小田原線が乗り入れますが、地図をご覧いただくとわかるとおり、両社線路が交差しているものの駅舎は離れているように見えます。実際にも両社の駅舎間はペデストリアンデッキで繋がれてはいますが、改札間は最短でも約300m、徒歩で3〜5分ほど要します。その理由については後ほどご説明しますが、まず両社の駅の様子を見ていきます。
小田急は一部のロマンスカーを除いて大半の列車が停車する主要駅となっており、小田急百貨店と一体形の駅舎を構えます。改札口は東西南北四方に設置されていますが、JRとの乗換口となる西側の改札が一番広く人通りも多くなっています。
また駅の出入口も東西南北に設置されており、カリヨン広場や町田一番街にほど近い東口。町田バスセンターやJRの駅からも近い西口。レンガ通りなど路地裏へ続く南口。目の前に置かれるミョウガのオブジェ(メタルミョウガ)と予備校が集まるエリアの北口と4種4様の町並みが広がります。さらにホームの相模大野寄りにある上へと続くエスカレーターを上ると小田急百貨店と連絡する改札もあります。
一方のJR側も負けず劣らずの賑わいっぷりですが、八王子寄りにある中央改札を越え右側に出るとルミネやマルイが直結。ペデストリアンデッキが広がる街で一番賑わうエリアとなる北口。小田急との連絡も丸い横の通路を通ることになります。
その反対側、中央改札を左手に行くと南口。目の前にはヨドバシカメラが佇みますが、それ以外は宅地が並ぶ住宅街。すぐそばを境川という川が流れますが、ここはなんと県境となっており、川を越えると神奈川県相模原市となります。
さらにもう一つ、横浜方面寄りの少し離れた場所にあるターミナル口は、その名の通り駅界隈のバスターミナルのひとつ・町田ターミナル(後述)と接続しますが、中央改札とは対象的にこじんまりとした印象です。
両社間で賑わうのは共通しているものの、なぜ駅が離れているのか。それは元々JR(国鉄)は原町田駅、小田急は新原町田駅として開業し、同じ立地にも関わらず別駅扱いだったのがはじまり。時を経て1976年に小田急、1980年に国鉄が現在の町田駅を名乗るようになったものの、長らく両社間で連絡運輸協定が結ばれておらず、2008年まで当駅経由の連絡定期券が購入できませんでした。さらにPasmoやSuicaの普及で不便さは減少されているものの、きっぷによる連絡乗車券に関しては現在も購入できず、乗換時に別々に購入する必要があります。
またかつて国鉄の原町田駅舎は、さらに東側の現・町田ターミナル付近にあったそうで、今よりもさらに過酷な乗換を強いられ、その乗換ルートで使用されたパークアベニューやターミナルロードは、サラリーマンたちの熾烈な乗換競争が行われていたのだとか・・・?
揃わぬものはない!駅前にひしめく商業施設の数々
乗換の利便性だけを見るとあまり良く見えませんが、その代わりと言わんばかりに乗換ルートの間には、さまざまな商業施設が立ち並びます。小田急側は駅ビルも兼ねる小田急百貨店、JR側もルミネ、ミーナ、ヨドバシカメラが駅に直結。さらにモディ、東急ツインズ、マルイと、乗換ルート上に5つの施設(※1)の前を通りますので、乗換までに買い物ができるという利点があります。乗換の利便性は必ずしも近ければならないという定義はありませんし、見方を変えれば寄り道をしやすいからこその便利さあるといえますね。
施設の詳しい情報はまた別の機会でお話します。
(※1)ミーナ(ターミナル口)、ヨドバシカメラ(JR南口)を除く。
西洋風からレトロまで、バラエティ豊かな商店街
商業施設の多さも魅力ですが、町田はそれだけではありません。特に小田急側の界隈は商店街も多く、我こそ街のメインストリート!と言わんばかりにどれも多くの人通りがあるものばかり。小田急東口を出てすぐの町田一番街、西口付近からJRターミナル口まで続くパークアベニュー〜ターミナルロードは過去乗換ルートとして使われていましたが、その役目を終えても人通りが絶えることはありません。また小田急南口すぐのレンガ敷きがおしゃれな町田中央商店街(レンガ通り)に、レトロで人情味のある仲見世商店街、味のある大衆居酒屋や古着店の並ぶ大和横丁など、バラエティに富んでいてどこを歩いても飽きることがありません。こちらもここでは描ききれないほど魅力たっぷりですので、他でお話します。
他とはちょっと違う?町田駅周辺のバスのりば
駅に付帯するバスターミナルは、駅名や駅名に「○○口」と付けられた停留所が多く見受けられますが、町田駅にある3つのバスのりばはちょっぴり変わった位置づけとなっているよう。
小田急西口やJR北口からも近く界隈で最大規模のバスターミナルとなる町田バスセンター。乗り場は小田急の高架下にあるアイランドと呼ばれる島上の区画を中心に15箇所の乗り場を有します。乗り場は細かく分けると1〜6番がアイランド内、8・9番が東急ツインズWESTの横、10〜14番がパリオ・西友の横、15番は駅前通りをさらに西へ進んだ離れた場所にあります。各乗り場の行先案内は複雑ですので、神奈中公式サイトをご覧いただくとよいでしょう。なお高速バスに関しても空港リムジンバス(羽田/成田)と昼行便を中心にすべて6番乗り場から発車します。
バスセンターからさらに東側にあるミーナやJRターミナル口と隣接する町田ターミナル。10箇所の乗り場を有しますが、バスセンターと路線を分けられるわけでもなく、当停留所を発車してバスセンターを経由する路線または逆にバスセンター→ターミナル着のものと、完全に共存しているような形となっています。こちらもチェックしておくとよいでしょう。ただし高速バスに至っては、バスセンターと対象的に夜行便がおもに乗り入れるようです。
小田急北口付近を通る栄通り上にある町田駅バス乗り場は、道幅も狭く停留所も2箇所と少数派。駅の北側にある薬師池や町田リス園の辺りを経由し、野津田・鶴川駅方面を結ぶバスが発着しています。
また3つの乗り場は高速バスを除いて、路線バスは例外なくすべて神奈川中央交通(神奈中バス)が運行しています。
一歩外れた町田を味わえるみどころスポット
駅周辺は様々なものが溢れかえる雑然とした街ではありますが、駅から少し外れると、実は台地や自然のある閑静なベットタウンなんです。駅から東へ800mほどの場所にある芹が谷公園は、約13ヘクタールにも及ぶ広大な敷地を有する都市公園。森の木々を活かした冒険遊び場やロングすべり台は子供たちに人気の一方、日本庭園や花木園など憩いの場もあるなど、豊かな自然を存分に満喫できるスポットとなっています。
さらに公園の南側には町田市立国際版画美術館があり、国内でも数少ない版画の専門美術館。国内のものに留まらず国外のものまで、ヨーロッパ中世や奈良時代〜現代のものまで27,000点以上の作品を収蔵しています。
まとめ
駅を中心にヒトとモノが集約される街・町田。取材のためスポットを調査しているときは、あまりの数の多さに回りきれるか心配でしたが、昔からよく訪れた街だったため、苦労することなく回れてホッと一安心・・・。ただしこのページをまとめるのは本当に大変でした・・・!ここまで大変だったのは新宿駅南口や横浜駅以来でしたが、それらをも凌駕するコンテンツの多さな気がします。
そんな魅力的なコンテンツが集まりすぎる町田をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。