千葉県千葉市の北西よりに位置する幕張地区。幕張と聞くとやはり幕張新都心のような近未来的な街並を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかしその幕張新都心の最寄駅は海浜幕張駅で、今回ご紹介するのはJR総武線の幕張駅です。堂々と幕張の名を冠する駅だけに、この駅こそ幕張のオリジナル!さぞかし幕張の中心を担っているのだろう!と期待してみるも、駅前はローカルな雰囲気の商店街や住宅が立ち並ぶ平凡な雰囲気も。
隣接する京成千葉線京成幕張駅とともに調査してきました。
路地を抜けると新都心。ギャップの激しい駅周辺
JR総武線各駅停車のみが停車する幕張駅ですが、2面3線のホームを有し、一日に数本当駅折返しの列車も設定されています。ターミナル機能もある駅なのかと思いきや、駅舎は郊外型の橋上駅舎。改札の前にはニューデイズが営業しています。駅員さん手作りと思われる駅の案内板や、マリリスというオリジナルキャラクター!?。春には燕が巣を作っていました。
改札を出て右手側の南口。バスのりばはなく、タクシーのみが乗り入れ可能なものとなっています。駅前からはこじんまりとした商店街が伸び、そこを500mほど進むとスーパーや飲食店などが見えてきます。
南口から少し西寄りにある京成幕張駅。構内踏切のあるこちらも負けず劣らずのローカル感満載の駅舎。小さいながらバスロータリーがあり、海浜幕張駅行きの小型バスが発着しています。
幕張駅南口・京成幕張駅から500mほど南下すると、ローカルな下町風情が一変。大型店舗や高層マンション、3車線の広い道路がお目見えします。この一帯は幕張新都心のちょうど末端となるエリアで、付近には神田外語大学や放送大学、渋谷幕張高等学校などが集まる文教地区。そのため幕張駅は朝ラッシュの時間帯の利用が意外と多く、乗降するお客さんのほとんどが南口方面へと流れていきます。
そして長らくの間区画整理が行われていた北口は、2023年8月1日に待望の駅前広場が供用開始となりました。幕張駅は総武線沿線では唯一駅前広場やロータリーがない駅となっていましたが、これにより路線バスやタクシー、自家用車が駅に直接乗り入れることが可能となり、利便性が一気に向上することとなりました。
この再開発の様子はこちらにまとめてありますので、あわせて御覧ください。
大型店舗が集まる周辺の商業施設
幕張駅南口・京成幕張駅から南へ500mほど進むと、国道14号線へと繋がり、幕張公園交差点の角にイトーヨーカドー幕張店があります。店舗は1・2階の2フロアとなり、上層階と店舗脇の駐車場は1400台あまりが収容可能となっています。また当店と周辺地域(幕張ベイタウン、幕張本郷、花見川区役所)を結ぶお買い物用シャトルバスも運行されており、需要に対応したサービスも展開しています。
イトーヨーカドーの向かい側にはパチンコ店やカーディーラー、ブックオフなどが入居する複合型商業施設もありました。
またJR幕張駅南口の商店街を越えた先にある場所には、マックスバリュエクスプレス幕張店がありますが、今夏のリニューアルオープンに向け工事が進められています。
駅構内に残る鉄道遺産
JR幕張駅南口へ下る階段の手前に、何やら鉄道の座席のような・・・
ではなく、こちらは本物の座席。何とも座り心地の良さそうなこのボックスシートは、かつて房総地区を中心に走っていた車両「ニューなのはな号」で使用されていた座席なんです。おもに団体列車や臨時列車で使われていた車両なのですが、実はこのボックスシートスゴい機能を持っていて、この座席、折り畳めるんです。折りたたむとなんとお座敷になるんです。さすがに折りたたみの機能はロックされて使えないと思いますが、駅利用者の休憩スペースとして活用されています。
その向かい側にも座席が置いてありますが、こちらは房総で使われていた特急車両・183系のものと思われる座席。こちらも特急列車の座席ということで、座り心地は抜群!
しかしなぜこんなところに座席が置かれているのか。。それは当駅〜津田沼駅間にはJRの車両基地・幕張車両センターがあり、そこに所属していたニューなのはなと183系車両の廃車発生品の二次利用として、ここに置かれているものと思われます。こうした今はなき車両の一部が再び活躍するのは、鉄道ファンとしてはとても嬉しいですし、鉄道遺産としてこれからも永く大事に使われてほしいと思います。
まとめ
幕張だけど新都心じゃない方の幕張駅。ローカル感がありつつ新都心の一部アクセスも担う一方で、急ピッチで進められる再開発の様子など、ギャップが激しいながら生まれ変わろうとする街の姿がありました。総武線から幕張新都心へのアクセスも隣駅・幕張本郷駅からのほうが圧倒的に多いですが、この再開発によってもしかしたらその立ち位置も変わってくるかも知れません。今後もその変貌ぶりに目が離せません。