実現するの!?延伸計画のある首都圏の路線を考察

実現するの!?延伸計画のある首都圏の路線を考察

コラム
2022.04.15 2022.04.15
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線路は続くよどこまでも。

そんな唄があるように、鉄道は日本全国津々浦々に路線が張り巡らされています。利用者減少などで残念ながら廃線となってしまう路線もありますが、その一方で利用者増加を見込んで、線路を更に伸ばそうという動きも当然ながらあります。ここ2年ほど(2022年現在)で延伸開業した路線はありませんが、今年度は関東でも相鉄・東急新横浜線、新規路線では宇都宮LRT、九州新幹線・長崎ルートの開業が控えています。それ以降も当然路線延伸・開業の計画はたくさんあるのですが、具体的にどんなものがあるのでしょうか?今回は一部ではありますが、えきまえふぁん注目のものを考察していきたいと思います。

(注:本記事の題材はあくまで計画段階のものであり、現時点で情報公開されている内容を基に記載しています。)

羽田空港直通に第3勢力が参入!

東京の空の玄関口といえば、多くの人がご存知であろう羽田空港。鉄道としてそのアクセスを東京モノレール(浜松町駅〜羽田空港第2ターミナル駅間)と、京急空港線(京急蒲田駅〜羽田空港第1・第2ターミナル駅間)の2路線体制で長年賄われていますが、ここに来てなんとJR東日本が空港アクセス第3勢力として参入しようとしています。

JR上野東京ライン

長年東京と全国の各都市だけでなく、世界各国を繋いできた羽田空港ですが、東京の主要ターミナルとのアクセスが乏しいことが弱点。休止中の貨物線などを利用し、大井ふ頭にある東京貨物ターミナル駅を経由し、羽田空港への新線を建設する計画です。これが実現すると、東京駅はもちろん上野駅、大宮駅などから乗り換え無しで羽田空港へのアクセスが可能となります。こちらは新線建設区間(東京貨物ターミナル駅〜羽田空港新駅間)の第一種鉄道事業許可を取得し今年度着工(予定)、2029年度の運行開始を目指すとしている。

東京臨海高速鉄道 70-000系

また一方で、上記の東京駅方面とは別に、新宿駅方面(西山手ルート)、東京テレポート駅方面(臨海部ルート)からのアクセスを可能とする路線も計画されています。これらはいずれも東京臨海高速鉄道りんかい線を活用する計画で、東京貨物ターミナル駅横にあるりんかい線の車両基地(東臨運輸区)を経由するルート。しかしこちらはJRの路線ではないので、課題も多くあることからまだ計画段階とのこと。

この路線が実現すると、羽田空港アクセスが劇的に変わることは間違いありませんし、既存路線の京急や東京モノレール、リムジンバスなどにも影響が出ると思われます。今後の進展に目が離せません。

参考文献:輸送改善プロジェクト羽田空港アクセス線構想

カオス化決定!?東京メトロの延伸路線

お次は東京都心を代表する地下鉄・東京メトロ。2004年に営団地下鉄から民営化し、当初は2008年の副都心線開業以降の新線建設は行わない方針でしたが、時が経つにつれて変化が生じ、新たな動きが浮上してきました。現状でも網の目のように張り巡らされている地下鉄は一体どんな計画が・・・

東京メトロ有楽町線

和光市駅新木場駅間で30年以上前に全線が開通している有楽町線ですが、ここに来てまたさらに新線の計画があります。それは豊洲駅半蔵門線・住吉駅へと至る約5.2kmの路線。南北を縦断する路線が乏しい東京23区の東側のアクセスを向上、さらに途中東西線の東陽町駅を経由することで、混雑緩和を期待できるとのこと。

東京メトロ南北線

もう一つは赤羽岩淵駅目黒駅間を結ぶ南北線。こちらもまた既に全線開業しており、両端で直通運転も行っています。南北線も上記の有楽町線のように、途中駅である白金高輪駅から南へ進路を変え品川駅へ延伸するとのこと。品川駅は東京都心部の主要ターミナルで唯一地下鉄が乗り入れない駅でしたが、実現すると初の品川駅進出となります。さらに品川駅といえば、リニア中央新幹線の起点駅となる予定で、都心部からのアクセス向上に一役買ってくれそうな予感がします。

いずれも今年はじめに鉄道事業許可を申請。3月28日付で国土交通大臣より許可を受けたとのことで、2030年代の開業目標としています。

参考文献:

東京メトロ、南北線品川延伸。有楽町線は住吉まで  ’30年代開業

有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の鉄道事業許可を受けました

まだまだ伸びる!神奈川県唯一の地下鉄

続いてまた地下鉄ではありますが、こちらは場所を移して神奈川県横浜市。県内唯一の地下鉄でもある横浜市営地下鉄は、1972年の開業以来地域の発展に合わせて延伸を重ねてきました。

横浜市営地下鉄ブルーライン

そのパイオニアであるブルーラインは現在あざみ野駅湘南台駅間の40.4 kmで営業を行っていますが、さらなる延伸区間として、あざみ野駅〜新百合ヶ丘駅間が計画されています。途中嶮山、すすき野、王禅寺付近を経由し、新百合ヶ丘駅では小田急小田原線多摩線と接続します。この区間はブルーラインでは2例目となる市の越境(※1)区間となる他、現在鉄道空白地帯となっていることで、さらなる利便性が期待できます。

(※1)=1例目は湘南台駅の神奈川県藤沢市。新百合ヶ丘駅と王禅寺付近は川崎市麻生区。

参考文献:横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸「あざみ野~新百合ヶ丘」概略ルート・駅位置が決定しました!

横浜市営地下鉄グリーンライン

一方横浜市営地下鉄のもう一つの路線、グリーンライン日吉駅中山駅間の途中センター北駅センター南駅など港北ニュータウンを中心に営業していますが、こちらもさらなる延伸構想があります。
そもそもグリーンラインは横浜環状鉄道として計画された路線で、現在営業しているのはその一部区間。両末端区間からさらに延伸する計画で、日吉方は鶴見駅まで。中山方は二俣川駅東戸塚駅上大岡駅根岸駅を経由して、元町・中華街駅まで伸ばす構想となっています。こちらも今年度中に事業化検討を目指しているとのことです。

参考文献:横浜地下鉄グリーンライン「二俣川・鶴見方面延伸」2022年度に事業化検討へ

需要と実現性は?郊外路線の延伸計画

続いて都心部から離れて、首都圏郊外における計画を見ていきましょう。

千原線に乗り入れる京成3600形

当サイトではおなじみの京成千原線千葉中央駅ちはら台駅間の10.9kmを結ぶ路線ですが、ちはら台駅から先進路を南へ進み、小湊鐵道線海士有木駅までの延伸計画が存在します。しかし千原線はこちらの記事でもご紹介しているように、運営会社の経営破綻、高額運賃問題など度重なる悲運が影響し、利用者が伸び悩んでいる現状であることから、延伸計画は凍結。2020年には工事計画申請期限を10年延長しているそうですが、現在の状況を鑑みても実現はかなり厳しいと見て良いかと思います。不運の後の奇跡が起こるとよいのですが・・・

参考文献:京成千原線の延伸区間、工事計画申請期限を10年延長 京成線と小湊鉄道つなぐ新線

埼玉高速鉄道2000系

最後は場所を北西に移して埼玉県。JR各線と東武伊勢崎線の間を縦断する埼玉高速鉄道線は、浦和美園駅赤羽岩淵駅間の14.6kmを結び、赤羽岩淵駅からは東京メトロ南北線と直通運転を行っています。そんな埼玉高速鉄道線は、北端の浦和美園駅から先、東武野田線・岩槻駅JR宇都宮線・蓮田駅への延伸計画があります。開業以来20年に渡り議論が行われてきたそうですが、2021年に県とさいたま市で岩槻延伸に向けての連携・協力に合意したとのことで、一歩前進言えるでしょう。これが実現するとJRと東武伊勢崎線のバイパス路線としての機能性が一層高まるので、ぜひ期待したいですね。

参考文献:地下鉄7号線の延伸、実現へ加速 埼玉県とさいたま市、部局長会議を新たに設置 連携し取り組み

まとめ

まだまだ進化が終わらない鉄道事業。今回ご紹介したのはほんの一部で、これ以外にもたくさんの構想があって、日本全国を見渡すとまたさらに多くの計画が存在します。こうしたものは突然動くこともあるので、今後もその動向は注目し、皆様にもお伝えできたらいいなと思います。

そして個人的に楽しみなのは、幼少期からよく乗車していた横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸でしょうか。生まれ故郷でもある川崎市への乗り入れということと、川崎市に地下鉄が来るというのは聞いただけでも感動を覚えます!(川崎市営地下鉄の計画が無くなってしまったから余計に(笑))今後の進展を見守っていければと思います。

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