ハマの赤い博物館 京急ミュージアムを徹底解説!【後編】

ハマの赤い博物館 京急ミュージアムを徹底解説!【後編】

クローズアップ
2021.11.20 2021.12.29
EKIMAG

2020年1月21日、横浜みなとみらい地区に高々とそびえる1棟の一角に、とある鉄道ミュージアムがオープンしました。
その名も「京急ミュージアム」。

大手鉄道会社が運営する博物館は、関東地方だけでもJRの他に、東急、東武、京王、東京メトロなどがありますが、京急でははじめての博物館となります。

京急といえば、「赤い電車」の愛称で沿線住民のみならず、鉄道ファンの間でも人気の高い私鉄ということで、オープン前から注目度が高い施設でした。

そんな京急ミュージアムを、えきまえふぁん独自の視点で徹底調査!
少し長くなりそうなので前後編に分け、今回は後編・京急の歴史や貴重な展示アイテム、グッズの紹介をしたいと思います!

前編はこちら

往年の名車が語る、京急120年の歴史

京急230形

少し勿体ぶってしまいましたが、ここで京急ミュージアムの目玉と言うべき展示物をご紹介しましょう。
先述でもお伝えしましたが、まずミュージアムに入ってすぐ目に飛び込んでくるのが、こちらの京急カラーをまとった古めかしい車両。
この車両は「230形」という京急で活躍していた車両なのですが、この230形。ただの往年の車両というわけではなく、実は京急の前身である湘南電気鉄道のデ1形車両として製造。なんと京急のルーツとなる車両なのです。
この車両自体は1929年(昭和4年)に製造されたもので、その車齢はなんと92年と、京急の歴史をそのまま現代に残す貴重な車両です。

ホームから乗車できます
ホームの番線表示板は過去に京急で使われていたものが

車両には実際に入ることができ、京急の歴史を紹介するコンテンツが揃っています。

230形車内

800形ローレル賞受賞時の写真と、800形・2000形の車番プレート
800形ローレル賞受賞時の写真と、800形・2000形の車番プレート

過去の中吊り案内や、記念乗車券などの展示がされています。
えきまえふぁんでも取り上げた能見台駅は、昔は谷津坂駅という名称だったのですね。

昔の停車駅案内図

過去の停車駅案内図。現在より快特(当時は快速特急)の停車駅が少なく、空港線に直通列車もなく普通のみの運行となっていたようです。(※1)
また現在では「京急」と頭につく駅が「京浜」となっているのがわかります。
今でこそ都営浅草線を介して京成、北総鉄道などと直通運転をするため、所狭しと駅名だけが並べられた路線図となっていますが、こちらはイラストで沿線スポットの紹介もあったりで、見ていてとてもワクワクする路線図ですね。

(※1)過去の空港線羽田空港駅は、現在の羽田空港駅とは違う場所にあり、天空橋駅よりも手前に存在していました。また空港への連絡もバスを介して行っていました。

ゴミ箱

こちらは過去に使われていたホームのゴミ箱。京急カラーがまたいい味を出しています。

サボを入れるケース

そのゴミ箱の横には何とも味のある木箱が。よーく見てみると、中にはサボ(※2)が!230形の前面に付けられるものですね。こういったレアアイテムが見られるのもミュージアムならでは。

(※2)サボとは、鉄道車両の前面部に掲示する行先板のこと。現在では方向幕やLEDで表示されている行先表示ですが、昔はそういった機能はなく、鉄板に書かれた行先を車両前面に掲示。その付け替え作業は手動で行っていました。

施設内に隠れる、懐かしのお宝アイテム

京急ミュージアムの体験・歴史とご紹介してきましたが、まだまだそれだけではありません。
施設内をよーく見ると、それはそれは貴重で知る人にとってはたまらないお宝アイテムが眠っているのです。

一旦ここで入場する前の、整列場所へとさかのぼります。
前半でご紹介した、800系のシートベンチの横にショーケースがあります。その中を見てみると・・・

過去に発売されたきっぷ

過去に発売された三浦半島方面の周遊きっぷが展示されています。右上の青いきっぷ「京急ぐるりっぷ」は、京急初の周遊きっぷとして発売。横浜以南の区間と路線バスの一部区間が2日間乗り放題という、現在の「三浦半島1DAY・2DAYきっぷ」に近い内容でした。

横浜博覧会の資料

その隣のショーケースにはこれまた何と。。。!「横浜博覧会」の資料です。
横浜博覧会は1989年に、現在のみなとみらい21地区で開催された博覧会で、横浜市制100周年・横浜港開港130周年を記念して開催されました。
会場では近未来を彷彿とされる乗り物や施設が展示されており、そこはまさに夢の空間。
筆者はこの頃小学校に入学したばかりで、子供ながらに行ってみたい憧れの場所でした。しかし家庭の方針などで最後まで来場は叶わず。。。クラスメイトが持っていたYES’89と書かれたビニール袋を羨望の目で見ていたことを思い出します。

横浜博覧会のマップ

こちらがその夢の空間の見取り図。現在のみなとみらい大通りがこの頃には既にあったのがわかります。また現在地と記されている位置が現在の京急本社ビルがある場所。30年前は「高島駅」という貨物駅がある場所でした。
また現在の桜木町駅〜ワールドポーターズへと続く遊歩道は、貨物線の廃線跡を活用して作られたのですが、横浜博覧会開催中は山下公園まで気動車が走っていました。博覧会には行けずとも、これには乗ってみたかったのですが、それも叶わず夢は儚く散ってしまいました。。。

京急バスの昔のパンフレット

続いてバスコーナーにある、観光バスの過去のパンフレット。赤と白の爽やかなカラーリングは、現在の高速バス等でも受け継がれており、路線バスとの差別化を図る一方でひとつ上の特別感も感じられます。

京急バスのロゴ

こちらは路線バスの前面に取り付けられていたであろう京急のロゴプレート。現在でもこのマークは使用されているので、これぞまさしく京急!と言わんばかりの存在感を放っています。

床面にある展示物

さて、ミュージアム内の床面を見てみると、このようなガラス張りのタイルが埋め込まれ、その中には京急にまつわるアイテムが詰め込まれています。こちらは京急の電車区で使われていた用具や点検の際に使われる工具などが入っています。

床面にある展示物

また違う場所にあるタイルには、過去のイベントで使われたヘッドマークや入場券の数々。けいきゅんのつり革が愛らしいですね。

床面にある展示物

もう一方は過去の冊子やまぐろきっぷのパンフレット。2000形のクロスシート仕様(※3)ラストランの際の記念品などが展示。

床面にある展示物

最後は過去に運行されたパシフィック号/逗子号(※4)の車内広告、京急のロゴや社名が象られた金の延べ棒などが。

こうした京急の歴史を物語る貴重なアイテムが惜しみなく展示されており、ファンにとっては感動のものばかりです。

(※3)=京急2000形は登場時、2扉の全車クロスシートを装備した快速特急(現在の快特)用車両としてデビューしましたが、2100形車両がデビューすると入れ替わるように3扉のロングシート仕様へとリニューアルされ、2018年に惜しまれつつも引退しました。

(※4)=かつて京急〜都営浅草線〜京成線を直通し、京急・京成沿線の海水浴場を結ぶ列車として運行されていました。そのほかにも年末年始に運行されていた「招運号」や「成田山号」など、直通列車が盛んに運行されていました。

人気キャラクターコラボも!真っ赤に埋め尽くされたグッズ

ミュージアム内には展示物としてもう手に入らないアイテムがたくさんありましたが、ここで買えるアイテムもたくさんあります!

京急ミュージアムのガチャガチャ

鉄道模型運転台の後ろには、8代置かれたガチャガチャマシーン。種別札/編成両数クリップは京急ならではのアイテム。過去にタイアップしていたすみっこぐらしやリラックマのものも販売しています。

グッズ売り場

こちらは230形ホームの横にあるオフィシャルグッズ売り場。真っ赤なものはもちろん、ブルースカイトレインの青いもの、イエロートレインの黄色などのアイテムも売られていますね。京急好きなら1つはぜひ持っておきたいアイテムが揃っています。

グッズの袋

余談ですが、筆者も京急は大好きな鉄道会社のひとつ!せっかく来たのでグッズを購入いたしました。真っ赤なビニール袋がまた何とも可愛らしいですね。

上大岡駅キーホルダー

上大岡駅キーホルダー

購入したのは駅名キーホルダー。えきまえふぁんでも紹介してます「上大岡駅」のものを購入しました。裏表で駅入り口のもの、ホームのものとなっています。

まとめ

前後編でお伝えしてきました京急ミュージアムのレポート。入場無料であるものの、その内容はファンならずとも大人から子供まで楽しめる体験コーナーや、京急が歩んできた軌跡を知ることができる歴史の数々など、博物館としてはとても濃度の高い施設だと思いました。敷地面積の広い施設を1日かけて回るのももちろん良いですが、短い時間でも高い密度で味わえる体験や身に付けられる知識はとても印象深く、色濃く記憶に残ることでしょう。

ぜひ色濃い思い出づくりに訪れてみてはいかがでしょうか!

京急ミュージアム

住所
横浜市西区高島1-2-8 京急グループ本社1階

開館時間
1日3回入れ替え制
1回目=入館時間10:00~11:00 ※退館11:30
2回目=入館時間12:30~13:30 ※退館14:00
3回目=入館時間15:00~16:00 ※退館16:30

休館日
毎週火曜(火曜が祝日の場合は翌日)
年末年始および臨時休館日

入館料
無料 ※一部体験コンテンツは有料

公式サイト
https://www.keikyu.co.jp/museum/

アクセス
横浜駅東口から徒歩約7分
(みなとみらい線新高島駅からもアクセスできます)

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