両国駅周辺 ー江戸の歴史が集まる相撲の街ー

両国駅周辺 ー江戸の歴史が集まる相撲の街ー

東京都
2022.05.04 2022.07.15
RYOGOKU

東京23区の東側に位置する墨田区。その東端に位置するのが今回ご紹介する両国駅です。JR総武線都営大江戸線が乗り入れますが、総武快速線が東京駅へ乗り入れる以前は、千葉方面の玄関口として栄えました。さらにご存知の方も多いでしょう、駅の横には大相撲の聖地・両国国技館があることから、駅を含め周辺には相撲に関連するお店やスポットも多く点在します。そんな両国駅ですが、江戸時代より市街地として栄えてきた歴史ある街でもあり、歴史的偉人や事件とも深い関わりのある街でした。今回はそんな両国駅の周辺を巡ってみましょう。

レトロな駅舎が印象的な、かつてのターミナル駅

両国駅西口

JR両国駅は東口・西口と改札が分かれますが、そのメインエントランスとなるのが西口。西洋建築の立派な駅舎は昭和4年に完成。以来この地に建つ歴史的建造物となっています。改札内には相撲の街ということで、歴代の力士たちの写真と手形が展示されています。その他天井には「満員御礼」と書かれた幕や、浮世絵のパネルなどが展示され、江戸の風情を体験できるコンテンツが揃います。

JR両国駅東口と都営大江戸線両国駅

一方の東口は高架下の錦糸町寄りにあります。大江戸線ここから東へ進んだ清澄通りの直下に駅があるので、乗換の際はこちらを利用します。また江戸東京博物館や北斎通りへ出る際もこちらが便利です。

両国駅3番線ホームとB.B.BASE
おしゃれでレトロな駅名標と、国鉄時代の柱用のものが泣かせます

JR両国駅は総武線各駅停車の島式ホームが2番線までありますが、実はもう一つホームがあるのはご存知ですか?それがこの幻のホームと呼ばれる3番線。この両国駅は総武快速線が東京駅へ直通するまでの間、千葉方面へのターミナル駅として機能しており、特急・急行列車の多くがこの両国駅を起点に房総方面へと向かっていました。以降その機能も東京駅へと移り、しばらく使用されていませんでしたが、2018年に観光列車・B.B.BASEが運行開始。この3番線ホームを発着するようになりました。
B.B.BASE運行日とイベント開催以外の日はホームへは立ち入れませんが、ホームまでの通路は両国ステーションギャラリーとして、国鉄時代の総武線の歴史などを展示しています。

相撲が溢れる街。どこもかしこもお相撲だらけ!

両国国技館と駅周辺の相撲スポット

両国といえばやはり外せないのは、街の代名詞ともなっている両国国技館。大相撲の聖地としてももちろんですが、1年間で行われる本場所の半数がこの国技館で行われています。主としては当然大相撲で使用されますが、近年ではプロレスやボクシング、コンサート会場としてイベントでも使用されています。

両国駅周辺のちゃんこ屋

そして相撲の街ということで、相撲と切っても切れない関係にあるのがそう、ちゃんこですね。そのため駅周辺にはちゃんこ料理屋が多く並び、中には元力士の方がオーナーとなって営業しているお店もあります。ランチ営業もやっているお店もあるようですので、せっかく来たなら一度は食べてみたいですね。

相撲だけじゃない!江戸の風情を残す街の見どころ

江戸NOREN

相撲の街・両国ではあるものの、もちろんそれだけではありません!築90年にも及ぶ両国駅舎ですが、2016年にリニューアルされ、複合飲食施設・江戸NORENとして営業しています。

江戸NOREN館内

建物内は相撲の街らしく中央には土俵が鎮座。それを囲うように飲食店が並んでいます。

江戸東京博物館

お次は「両国は相撲だけじゃない!」ということを知らしめたであろう、代名詞のひとつ江戸東京博物館。その名の通り江戸・東京の歴史や文化を展示する施設で、江戸の街を再現した模型などを展示しています。2022年現在、大規模改修工事のため残念ながら休館中で、再開は2025年を予定しています。休館前の様子を子供遊び・学びHACK!研究所さんがレポートしてくださいましたので、その様子を下のボタンよりぜひ体感してみてください!

旧安田庭園

続いては国技館のすぐ北側にある日本庭園・旧安田庭園。中央の大きな池と、松などの樹木が周りに植えられた本格的な日本庭園で、入場無料とは思えないほど管理も行き届き、ゴミひとつも落ちていないとても美しい日本庭園。都会の喧騒の中にありながら、癒やしを与えてくれます。その横には刀剣博物館が隣接しています。

両国橋と隅田川

両国を語る上で外せないのは相撲もそうですが、やはりこの隅田川もそのひとつ。ここを越えると台東区となります。かつて隅田川より東側は下総国(西側は武蔵国)でありましたが、1657(明歴3)年の明暦の大火を機に防火・防災を目的としてこの両国橋が架橋され、江戸の郊外とされていたこの地域が市街地となっていきました。もはや両国橋がこの両国の街と、以東の街を形成していったと言っても過言ではないですね。

葛飾北斎と忠臣蔵ゆかりの地

葛飾北斎生誕地/すみだ北斎美術館

ここまででもかなり深い歴史を持つ両国の街ですが、江戸の歴史はそれだけでは終われませんでした(笑)
この両国は、江戸時代後期に名を馳せた浮世絵師・葛飾北斎生誕の地でもあり、生涯のほとんどをこの地で過ごしたとされています。正確な生誕地は不明であるものの、おおよその地とされる場所にすみだ北斎美術館が建てられています。

忠臣蔵ゆかりの地

最後にご紹介するのは、幾度と映画やドラマの題材となった作品「忠臣蔵」。吉良上野介によって藩主を処刑された家臣・大石内蔵助が、赤穂浪士たちとともに吉良邸に押し入り、仇討ちをするという赤穂事件を題材とした作品ですが、その吉良邸があったのが両国橋近くの一帯なのです。そんな吉良邸の跡地となるのが本所松坂町公園(写真左)。公園とは名乗っていますが、遊具などはなく神社や桜の木などがある記念公園のような場所となっています。その他形は残っていないものの、裏門や表門の跡地、赤穂浪士たちが休息したとされる地などの記念碑が点在しています。

これはそれぞれの歴史のほんの一部にしか過ぎませんが、知れば知るほどにもっと深い歴史の真実を知れるかもしれません。ぜひ訪れて江戸で起きた真実の物語に触れてみるのはいかがでしょうか。

まとめ

相撲の街として全国的に有名な両国の街ですが、葛飾北斎の生誕、忠臣蔵の舞台、鉄道史においても重要な場所でもありました。そんな歴史の数々が紡がれて、現代に残るその姿は何ものにも代えがたいものであることは間違いありません。江戸〜明治〜大正〜昭和〜平成と続き、令和となった今、この街は一体どういった歴史を作り、また受け継がれていくのか。後世にとってより良い未来を創るきっかけとなることを願っています。

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