そっくりだけど中身は違う?京成3100形と新京成80000形を乗り比べ

そっくりだけど中身は違う?京成3100形と新京成80000形を乗り比べ

クローズアップ
2022.01.16 2022.10.16
EKIMAG

2019年4月11日。京成電鉄新京成電鉄は十数年ぶりの新型車両を導入することを、同日発表しました。その形式は、京成電鉄は3100形。新京成電鉄は80000形。先代の3000形(京成)/N800形(新京成)と同じく京成グループ標準車両として両社で共通設計のうえ、製造されることになりました。
先日京成3100形を使用したツアーに参加しましたが、後日取材の際にはなんと新京成80000形に乗車する機会に巡り合うことができました。筆者はどちらも好きな車両なので、ぜひ乗って記事にしてみたいと思い、今回書かせていただくこととしました。共通設計とされながらも、微妙に違う両車を分析していきたいと思います。

外観 ―色違いで引き立つ個性―

京成3100形

京成3100形(以下京成車)は成田スカイアクセス線での運用が前提となっており、当線のアクセス特急として成田空港から上野、都営浅草線・京急線へ直通して羽田空港まで運行。2019年9月に8両編成×2本が導入されて以降、現在6編成が在籍しています。外観はステンレスボディにオレンジのラインと、これまでの京成のイメージを覆す色を採用しましたが、アクセントカラーとして既存の青と赤のラインも入れられており、京成の車両ということがわかるようになっています。

新京成80000形

一方の新京成80000形(以下新京成車)は、これまで導入されてきたN800形の後継車として、京成に遅れること1ヶ月後の2019年10月に6両編成1本が導入されました。新京成では置き換えの始まっていた8000形が2編成残っており、80000形はまずそれらの置き換えを担うことに。2022年現在、6両編成3本が在籍し、8000形の置き換えが完了。現時点では京成千葉線への直通運用には入っておらず、京成津田沼駅〜松戸駅の線内運用に充当されています。外観は新京成のコーポレートカラーとなっているジェントルピンクを基調とし、一部にホワイトの入ったなんとも鮮やかでキュートな色合いとなっています。

両車とも共通設計ということで、設計コンセプトが「受け継ぐ伝統と新たな価値の創造」。この後ご紹介していきますが、これまでにない機能美や伝統として受け継がれている設備が垣間見える車両となっています。

京成3100形 側面

車体側面は、京成車には窓下と上部にオレンジの帯が入りますが、その間に青と赤の細いラインが入り、それぞれ空港をイメージした飛行機と、京成沿線のみどころスポット(成田山新勝寺、浅草雷門&スカイツリー、千葉県から見た富士山)が描かれています。

新京成車は車体上部と裾部分にジェントルピンク、窓下に太く白いラインが入り、一部に新京成のロゴが入れられています。

両車とも形こそ同じではありますが、やはり色が異なることでそのイメージもかなり違うものになりますね。

車内 ―路線ごとの需要と伝統―

外観では色の違いでかなり印象が変わりましたが、車内の様子はどうでしょうか?

ドア比較

電車のエントランスとなる側面扉。
京成車は全体的に白く明るいイメージですね。扉上の車内案内表示器のパネルはシャンパンゴールドの配色で、高級感のある印象を受けます。
新京成車のほうも白を基調とした内装ですが、所々に赤やピンクの配色があるせいなのか京成車よりも少し赤みがかった温かい印象。車内案内表示器のほうは黒となっていて、京成車とはまた違うシックなものとなっています。

シート比較

座席は京成車が車体同様のオレンジを基調としたモケット。新京成車は背もたれが濃いピンクと座面にダークブラウンとアクセントの強い配色。いずれもハイバックシートを採用していますが、京成車のほうは中央部が折りたたみ(後述)となっていたりと、仕様の違いが出てきています。

優先席比較

優先席はいずれもベースカラーが青ではあるものの、京成車は他の座席同様花の絵柄が。新京成車は背もたれにハートのシルエットが並べられていたりと、ここにも違いが出ていますね。

フリースペース比較

フリースペース・車椅子スペースとなる部分は、色こそ違うものの見た感じの仕様は共通のものとなっていますね。

車端部比較

車端部は新京成車では化粧板が赤みがかっており、フリースペース横の座席が優先座席ではないため、手すりの黄色いグリップが巻かれていませんね。また連結面のガラス部分に描かれているイラストも、京成車は飛行機のストライプ。新京成車は沿線の特産品の梨とぶどうのイラストが描かれています。

京成3100形の荷物スペース

ここで両車片方にしかない設備を見ていきましょう。
京成車のほうは座席の項でもお伝えしましたが、通常8人がけとなるロングシートの中央部分2人分のスペースが荷物スペースとなっています。これは成田空港利用客が大きなスーツケースを邪魔になることなく置けるようにしたもの。さらにアクセス特急は都営浅草線〜京急を経由して、羽田空港へも乗り入れるので、空港需要にフル対応した設備となっています。

京成3100形の席背面に付いているランプ

こちらも京成車にのみ取り付けられた座席中央部分に取り付けられたランプ。折りたたみ座席の使用可否を確認するランプで、座席使用ができない場合は赤く光るのだとか?

新京成80000形についている鏡

新京成車のほうも独自設備がもちろんあります。それは新京成全体の特徴とも言えるドア横の鏡!新型車両でもその伝統はしっかりと受け継がれ採用されています。この鏡を見ることによって、隣に貼られている広告がよく見られるそうで、視線を促すための戦略、また副次効果として痴漢防止にも役立っているのだそう。

両車で共通となっている設備として「プラズマクラスターイオン発生装置」が搭載されているので、いつでもどこでも車内は清浄な空気が取り入れられています。

共通設計とはいえど、コンセプトとなった受け継ぐ伝統と新たな価値の創造が、それぞれの路線ごとの需要と供給に合わせたものして導入されたことがよくわかりますね。

性能 ―これがわかれば今日からマニア―

ご紹介最後となるのは、かなりハイレベルな領域・性能に関わる部分です。これは本当に専門性の高い方でないと正直わからないのではないか・・・と思いますが、思い切ってお伝えします!

ここではそれぞれの車両が発車するシーンの動画を持ってきました。まずは京成車のほうですが、発車する際のモーターの音をよーく聞いてみてください。

どうでしょう?京成車は発車の際「キーーーーーン」と甲高い音が鳴っていたと思います。

今度は新京成車のほう。形もほぼ同じなので、同じではないかと思いますが・・・

あら、こちらは「キーン」というよりは「ヒューーーーー」っていうような音がしますね。

これでお解りになられたでしょうか?実は京成と新京成では使用しているモーターがそれぞれ違うメーカーのものを使用しており、そのため車体は同じでもモーターは全く違うものなので、発着の際の音も全く違うものとなっています。

何気なく乗っている電車も、実はよく見てみると面白い要素が詰まっていたりするので、ふと気がついたときに探してみると面白いかもしれませんよ。

まとめ

グループ内共通設計の車両として、新たなる価値として機能性を強化し、これまで培ってきた価値も伝統として残し受け継ぐ次世代車両・京成3100形と新京成80000形。京成もスカイアクセス線用の車両が必要数揃ったことで、今後の増備計画がどうなるのか気になるところ。新京成80000形も京成千葉線への直通運転は未だされていないものの、今後の直通運用に入る予定だそうで、それがいつ実現されるのか。これからの動きがとても楽しみな車両たちに注目していきたいです。

クローズアップのえきマガ

Category Posts