大和西大寺駅周辺 ―列車で描くあみだくじと、周辺の過去と未来―

大和西大寺駅周辺 ―列車で描くあみだくじと、周辺の過去と未来―

その他のエリア(奈良県)
2022.04.30 2022.07.15
YAMATO-SAIDAIJI

奈良県奈良市はご存知の方も多いであろう、その名の通り奈良時代から平城京が置かれ、古都として栄えてきました。そんな奈良市の中心部にもほど近い場所に位置するのが、今回ご紹介する大和西大寺駅です。日本一の営業キロ数を誇る近鉄のターミナル駅のひとつにもなっており、奈良線京都線橿原線の3線が乗り入れます。当駅を境に近鉄奈良駅大阪難波京都方面に分岐する他、橿原線を介して京都方面から伊勢志摩方面へと向かう特急列車も行き交います。そんな多くの列車を捌くジャンクション駅の周辺は一体どうなっているのでしょう。その実態を探っていきたいと思います。

再開発が進む、駅の未来の姿

ホームから続く階段を登ると、コンコース内に駅ナカのショッピングモールTime’s Place Saidaijiが展開。またその一角には人工知能(AI)を搭載した案内ロボットを2台設置。アリサとリンと名付けられているそうです(笑)
改札口は奈良・橿原神宮寄りにある中央改札と、南改札の計2箇所となっています。

中央改札を出て左手側は北口。駅前はロータリーとなります。駅舎もリニューアルされ、真新しいスタイリッシュな外観がカッコイイですね。またよく見ると、ちらほら工事中の箇所も。

大和西大寺駅周辺では現在再開発の真っ只中。北口のみならず南口も含めた駅前全体で工事が着々と進められています。

一方の南口も大きなロータリーを有するターミナル然の構造ですが、こちらは再開発によって新たに整備されました。そのためロータリーから伸びる大通りとともに周辺も新築のマンションなどが立ち並びます。

そして大和西大寺駅の名を全国に知らしめたのがこの分岐ポイント多さ。そう、大和西大寺駅は大阪・京都・奈良への分岐点。さらに付近には車庫も有することから、もうどこに行くのかもわからない線路が平面交差によって分岐し、その数は日本一と言われています。よくある2面4線などの分岐ポイントであれば、列車がどう進むかは容易にわかりますが、この数ではさすがに列車が来ない限りはわからない複雑なあみだくじが作られているようです。

駅前の華やぐ商業施設 そこには日本初も!?

再開発が進む駅周辺ですが、商業も盛んなのでしょうか。

サンワシティ西大寺

北口を出てすぐに眼の前に飛び込んでくるレンガ調の建物は、ショッピングモール・サンワシティ西大寺。地上7階、地下1階のフロアに専門店や飲食店が展開されています。

ならファミリー

サンワシティの真向かいにあるさらに大きな建物はならファミリー。駅前最大規模の敷地面積を誇るこちらはなんと日本初の2核型大型商業施設として1972年にオープン。開業当初からある近鉄百貨店とイオンが共同核店舗として営業しています。また広敷地の駐車場も有することから、自家用車でのアクセスも非常に多いようです。

日本一もあれば日本初もある、まさにターミナルらしい要素が揃っています。

史跡の集まる、駅周辺のみどころ

今でこそ近鉄のターミナル駅として名高い大和西大寺駅ですが、何を隠そうここは奈良県奈良市の市街地のひとつで、その昔は平城京として栄えた古都です。そんな土地柄もあってか、周辺には貴重な史跡が数多く点在します。

大和西大寺駅周辺の古墳群

北口を出てならファミリー横の大通りを北に抜けると、木々の生い茂る林と外堀のある箇所が所々あります。この一帯は古墳群で、佐紀高塚古墳佐紀石塚山古墳佐紀陵山古墳佐紀瓢箪山古墳衛門戸丸塚古墳猫塚古墳市庭古墳計7つの古墳が連なっています。それぞれ拝所があり、その横には宮内庁による注意書きが置かれています。一見のどかではありますがれっきとした古墳。聖域でありますので、決してみだりに立ち入ってはならない神聖なる場所です。

平城宮跡と朱雀門

大和西大寺駅から近鉄奈良方面に走っていると、車窓からそれは立派な古代王朝を思わせる建物が見えてきます。これこそが平城京の代名詞と言っても過言ではない平城宮跡。北側に大きくそびえるのが第一次大極殿、その南側では南門の復原工事が行われていましたが、3月19日に工事が完了しました。線路のすぐそばに建つのが朱雀門。建築物はいずれも復元されたものですが、古都奈良の文化財として1998年に世界遺産として登録されました。

ちなみに近鉄奈良線はこの平城宮跡を横断するように走っており、史跡内に踏切もあります。これは大和西大寺駅から奈良方面へ線路を敷設する際、平城宮跡の保存に考慮して南側へカーブする施策が取られたものの、開通後に正確な平城宮の敷地エリアが判明し、結果的に平城宮跡を横切る形となってしまったようです。

朱雀門ひろば

朱雀門の南側には、朱雀門ひろばが広がり、その左右には平城宮いざない館天平つどい館などといった文化施設が付設されています。他にもお土産屋さんやビジターセンター、広場南端には復元された遣唐使船せんとくんが置かれており、観光地らしい施設となっています。

西大寺

最後にご紹介は大和西大寺駅を紹介するなら絶対に外してはならない、駅名の由来ともなっている西大寺。真言律宗の総本山で、約1万坪の敷地内に本堂と8堂の堂舎、7院の塔頭寺院が建てられています。伝統行事として、大きな茶碗にお茶を点てて飲む「大茶盛式」が毎年年始めと春、秋の3回行われています。また当寺院を開山した孝謙天皇の陵が、前述にある佐紀高塚古墳です。

まとめ

京阪奈を結ぶ重要拠点として、何線にも入り組んだ線路が印象的な日本有数のターミナル駅・大和西大寺駅。日本一、日本初の称号もあるまさに駅のエリートと言っても過言ではないでしょう。また奈良という土地柄、世界遺産を含めた深い深い歴史のある街でありつつも、近年の再開発で町並みも変わり、新たなる歴史を作ろうとしています。今回お題には出していませんが、将来的に駅の高架化と奈良線のルート変更の計画があります。完成まで40年かかるとのことなので、その完成を見届けることができるかは正直自信はありませんので(笑)今後の大和西大寺駅の発展を遠く(関東)からじっくりと見届けられたらと思います。

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